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11/13(土)「ランドセル」個別けいこ
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2021/11/13
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川上剛:ラジオ・トラクターの語り
今、劇団では、来年初旬の公開を目指し、“私はあいちゃんのランドセル”という写真絵本に取り組んでいます。 この本は、福島原発事故により住民の方々が避難をし、誰もいなくなった場所に取り残された、モノたちの写真、モノがつぶやく独り言(文章)、が見開きになっている形で構成されています。 モノたちが、この独り言を通じて、被災地はどのような状況にあるかを語りかけてくるのです。 この本の中には全部で16作品があり、その中から作品をピックアップし、出演者が朗読を行います。
この作品には10月中旬から取り組み始めたのですが、先日11月初旬になんと作者の菊池和子さんをお招きすることが出来、勉強会を行って頂けることになりました。 当日、菊池さんには、“私はあいちゃんのランドセル”の中の各作品の写真をスライド投影して頂きながら、写真を撮影した状況、エピソード等を話して頂けました。 避難された方々の困難、被災地の現状、など多くを学ぶことが出来ました。
勉強会全体を通じて感じたことは、この作品の中の1つ1つの言葉に、読んでいる人に伝えたいことが詰め込まれている、ということです。 私は最初、この作品の中の、モノがつぶやく独り言は、何か詩的に作られているようにも感じていて、その文章の背景を学ばなければ、と思っていました。 でも、菊池さんが勉強会の中で説明されたことを聞いていると、菊池さんが特に伝えたいことは、実は作品の中にハッキリと、とても分かりやすく書かれていることが分かったのです。 つまり、作品の中で書かれていることを “こういう文章” ということでは無く、“こういう訴え(伝えたいこと)” ということが理解出来たのです。
勉強会の中で菊池さんは “多くの人に事実を知ってほしい” と仰っていました。 事故から10年が経ちました。最近は原発事故の被災地のことが取り上げられることは少なくなり、私自身、現在はどういう状況になっているのか把握していません。 改めて調べたところ、東日本大震災と福島第一原発事故に伴う県内外への避難者数は2020年7月現在で、37000人以上にものぼるそうです。ピーク時からは減少したとのことですが、10年経った今でも、まだこれだけ多くの方々が避難されていることにショックを受けました。
これから、この作品への取り組みを通じ、知り、学ぶことで、この作品として伝えたいことを、観ている方にしっかりと伝わるようにしていきたいと思います。
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