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11/16(火)「ランドセル」けいこ
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2021/11/16
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榊原和子:「アーチ」「ピアノ」の語り
コロナ禍で、劇団も舞台での公演ができずにいます。 記念すべき第100回公演も、ユーチューブ配信となります。 が、表現をする素晴らしさを実感し、伝えていきたいとズームでのけいこに励んでいます。
原発事故から10年が過ぎようとしています。原発避難者が一番恐れていることは「忘れ られることだ」と聞きました。ついこのあいだの夏に、「原発はアンダーコントロール されている」と嘯いて誘致し、コロナ禍で多くの国民の反対をよそに強行されたオリ ンピックが終わったばかりなのにもうその時の怒りや不安は薄れています。 記憶すること記録することは、本当のことを知り伝え、同じ過ちを繰り返さないため に大切なこと・・・とつくづく思っています。
「私はあいちゃんのランドセル」は作者の菊池さんの記録し伝えていき続けたい、そん な思いが詰まった作品です。 私は、そのなかの、「ぼくはアーチだった」と「私はピアノ」の2作品を朗読します。
「ぼくはアーチだった」は、原発事故により今は帰還困難区域になっている双葉町役場 の入口に建てられ、事故後撤去された「原子力郷土の発展豊かな未来」という標語のア ーチの独白です。「原子力郷土の発展豊かな未来」って何だったんだ? 豊かな未来が 約束された地で誇り高く立っていたアーチが今では解体されて、何年も町役場に保管 されていた・・・アーチは何を思い、訴えたいのでしょうか。
「私はピアノ」は、地震と原発の爆発で全町避難した大熊中学校の体育館に取り残され たピアノの独り言。長いこと眠ったようにひとりぼっちで過ごしていたある日、人々 が突然現れピアノで『大熊中学校の校歌』を弾く。そう、あの日は卒業式でピアノは 大活躍したのです。ピアノはどんなにうれしかったことか・・・。 2つの作品がみなさんの心のひだに滲みるような作品になるように試行錯誤しながら取 り組んでいます。
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