浅川少年少女合唱団 劇団「ひの」合同公演 ミュージカル モモ 名場面集 |
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第一幕「時間とはいのち」 | |
プロローグ ここは円形劇場の廃墟。 今日も観光案内人のジジがガイドの練習をしています。 そのすぐそばの崩れかけた穴の中からかわいい笑い声。 ジジは優しくその女の子に声をかけました。 |
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1場「モモとみんな」 町の人や子どもたちが廃墟の穴を囲むと、その穴の中から女の子が出てきました。 みんなは女の子を一目見ただけで優しい気持ちになりました。 女の子の名前はモモと言いました。なんて素敵な名前でしょう。 みんなはモモに「誰かのうちに世話になるのはどうだい?」と聞きますが、モモは「ずっとここに住みたい」と言います。 ニコラがいいました。「よし。じゃあここに住みな。俺たちが世話するよ。」そしてモモはここに住むことになりました。 ジジ:こうしてモモは円形劇場の地下にある小さな部屋に住むことになったんだ。 親切な人たちのところに転がり込んだのだから、とても運がよかったんだね。けれど町の人たちにとっても、モモが来たことは素晴らしい幸運だったんだよ。 ニコラとニノの大喧嘩を町のひとたちが一生懸命止めます。 みんなは言います。「モモのところに行ってごらん」モモの前で話をしてごらん。 モモがそばにいるだけで二人は仲直りできました。 悩みがあって苦しいときはモモのところへいってごらん。 モモ:お話聞かせて。どうしたの? モモが話をきくだけで希望と明るさ、勇気と自信がわいてきます。 そう。モモには人の話を聞くというすばらしい才能があったのです。 |
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2場「アルゴ号の冒険」 夕立がやってきそうな日。子どもたちはモモが来るのを石段の上で待っていました。 そこへモモが帰ってきました。 子供たちはいいます。「モモ、遊ぼう」 「ええ、遊びましょう」 「ほら聞こえるわ」 ほら聞こえるわ。 波の音よ。 私たちは船の上にいるのよ。 青い海を進んでいるのよ。 その船の名前はアルゴ号 そして皆楽しく遊びます。 そう。モモがいるだけで、空想力が豊かになりました。 海の化け物「さまよえる台風」の正体を突き止めたところで、その日の遊びは終わりましたが、モモはそのとき不審な視線を感じます。 |
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3場「モモの親友」 夜、モモがひとりで星空を眺めていると、掃除夫のベッポが仕事から帰ってきました。 ベッポはモモの隣に座り、モモに文字を教えます。 ベッポは言います。「文字を覚えるのは大変だが、一歩一歩やっていけば大丈夫だ。」 そこへもうひとりの親友、観光ガイドのジジが現れます。 ジジは素敵なお話を考えて、観光案内に使っています。 それをモモとベッポにお話してくれます。 そしてジジは「お金持ち」になる夢を二人に語ります。 三人を星の声が包みます。 |
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4場「人をまるめこむ計算」 外は雨。床屋のフージーの店にはひとりでぼんやりお客をまつフージーの姿がありました。 「俺は何者になれた?たかがちんけな床屋じゃないか」 「立派で贅沢で・・週刊誌に載っているようなしゃれた暮らしができたら、今とはぜんぜん違う人間になっていたろうにな。」 そこへ灰色ずくめの男が入ってきました。 男はフージーに言いました。 「私は時間貯蓄銀行から来ました。あなたはあなたの人生を無駄にしておられる。あなたはまったく無責任に自分の時間を無駄にしています。」 そして時間を節約しろと迫ります。時間貯蓄銀行に時間を預ければ、五年ごとに二倍、十年たてば四倍、どんどんどんどんあなたの財産はあなたしだいで増えていく。 フージーはすっかり興奮し、自分にとって無駄といわれた時間を貯蓄しようとします。 「時間は貴重だ」 時間は貴重だ、節約せよ。 無駄なことはやめちまえ。 余計なことなど考えるな。 せっせせっせせっせと働くのだ。 時間節約は幸せの道。 時間節約は幸せの道。 |
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5場「友達の訪問」 日が沈もうとしてる廃墟で、子供たちが遊んでいます。 新しくくるようになった子供たちは、高価なおもちゃで遊んでいます。 そこへラジオの音がします。 ラジオを大音量で聴いているのはクラウディオ。 「音を下げろ」と注意したフランコと喧嘩になりました。 そこへモモがやってきます。「やめて!」 フランコがいいます。「こいつおれたちのじゃまばかりするんだ」 クラウディオが泣きました。 モモは問いかけます。「なにが悲しいの?」 子供たちはモモたちに訴えます。 「パパもママも僕を大事にしてくれる。だから僕はパパもママもすき。でもパパは忙しい。ママも忙しい。だから高価なおもちゃを買ってくれる。どうしようもないじゃないか」 それを聞いてモモたちはびっくり。 「みんなの親もそうなのかい?」ジジの問いかけに皆うなづきます。 そして、以前とちがう町の人たちの様子に、みんなを助けたいとモモは言います。 モモは来なくなった友達を訪ねてあるくことにしました。 |
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6場「敵の訪問」 円形劇場にモモと花売り娘のアントレイが現れます。 「モモとお話できて良かった。やっぱり私は皆にお花を届けるのが大好き。花売りはやめないわ」 アントレイと別れたところに、人形がやってきます。 「こんにちは。私はビビガール。完璧なお人形です。」 モモはビビガールと遊ぼうとしますが、同じことばかり言ってるビビガールに困ってしまいます。 そこへ灰色の男が現れます。 そう。ビビガールは灰色の男が放った手下だったのです。 ビビガールはいいます。 「こんにちは。私はビビガール。完璧なお人形です。」 「どうだい?こんな素敵な人形がいたら、君はもう友達なんかいらないだろう?」 男はモモにささやきかけます。しかし、モモは言います。 「私、この人形じゃ好きになれないわ。でもあたしの友達ならあたしはすきよ」 その言葉にビビガールたちは壊れてしまい、去っていきます。 モモは灰色の男に聞きます。 「聞かせて。」 男はモモに自分のこと、時間貯蓄銀行のこと、自分たちの狙いを話します。 そう。人間から時間をむしりとるということを。 そして急に正気になり、モモに攻め寄ります。「私のしゃべったことは忘れてくれ!」 灰色の男はあわてて去っていきます。 モモは怖くて震えています。 そこへベッポとジジがやってきました。 モモは言います。 「時間貯蓄銀行のひとがきたの」 「みんなの病気の原因がわかったのよ。みんなの時間が盗まれているの!!」 |
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7場「開かれなかった良い集会」 シーン1 モモの話を聞いて、子供たちとベッポ・ジジは町のみんなに呼びかけます。 「町の皆さん 聞いておくれ。見えない敵が潜んでいる。 大事な時間 ぬすまれぬよう。モモのところに集まるんだ!」 シーン2 そのころ、モモに秘密を漏らした灰色の男が灰色の仲間に連行されていきました。 シーン3 すっかり日が沈んでしまったのに、モモのところに町の人は誰も来ませんでした。 みんな落胆してしまいました。 そんなみんなをみてモモが歌います。 「スマイル」 くらい夜の向こうにはかならず朝がくる。 けんかして泣いたあとも笑顔がやってくる。 もしもあなたがなやんでいたら さがしてごらん、あなたの友を 聞かせて。悩みを。そして笑顔を見せて スマイル こころをつなぐ スマイル あなたの笑顔 スマイル 苦しいときも スマイル 笑顔をみせて いつのまにか皆で歌っていました。その歌に励まされた子供たち。 クラウディオは言いました。「あきらめないでまた皆で考えよう!」 「明日また集まろう」 子供たちは帰っていきます。 そしてベッポもジジも仕事があるといって帰っていきました。 モモはたったひとり取り残されてしまいました。 |
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8場「開かれた悪い集会」 郊外のごみ処理場。真夜中。ベッポがひとりで掃除の仕事をしていました。 くたくたになって横になるといつの間にか灰色の男たちがゴミの山を埋め尽くしていました。 そう。モモに秘密をしゃべった男の裁判が行われていたのです。 「モモという女の子に聞かれると、ついしゃべってしまう。」という証言にほかの灰色の男たちは「モモ」という名前をインプットさせます。 そしてしゃべってしまった男の判決は。。 「大逆罪で有罪。罰として、時間を与えることを即刻停止する。」 男は時間の葉巻を取られ消えてしまいました。 「モモを捕まえろ!」 灰色たちはモモを捕まえるために去っていきました。 「モモが危ない!」 ベッポはモモのところへ急ぎます。 |
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9場「逃走と追跡」 シーン1 モモが廃墟の石段の上にまだ座り続けていました。 そこへカメのカシオペイアがいつのまにかいました。 モモは聞きます。 「お前はいったいだれなの?」 「カシオペイア」 カシオペイアはモモについてきてほしいと言います。 モモはカシオペイアについていきます。 ゆっくりいそげ 時間はたっぷり こころはゆったり のんびり歩こう そこへ灰色の男たちが現れました。くまなく廃墟を探しますが、モモはいません。 ひとりの男が「モモは時間の境界線の中に向かっていったようだ」といい、灰色の男たちは追いかけます。 シーン2 そこへベッポがやってきました。 モモを必死で探しますが、誰もいないのでモモが連れ去られたと思ったベッポは、警察へ向かいます。 シーン3 灰色の男たちがモモを探しています。しかし不思議な光がモモとカシオペイアを灰色の男たちは消えていきます。 それは時間の境界線を超える光。 モモとカシオペイアはゆっくり急いでいきます。 |
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10場「時間の国」 モモとカシオペイアは、大きな広間にやってきました。 そこにはさまざまな時計がびっしり集まっていました。 モモはその光景に見とれていました。 「ようこそ!時間の国によく来てくれた。」 マイスター・ホラと名乗るそのひとはモモを待っていたのです。 灰色の男たちがモモを探していて、安全なところはここしかないから。 そこでホラは、モモに灰色の男たちのことを教えます。 人間ではない灰色の男たち。 時間を盗むことができなくなったら、もとの無に帰り消滅してしまう。 そしてホラは、時間の国について秘密を明かします。 モモは聞きます。「時間ていったいなんなの?」 ホラは歌います。 時間とはいのち 胸の中にある 心で響く 静かな音色 時間とはいのち 胸の中にある 心の中で咲く 美しい花 静かな音色や 美しい花が 心の中で 生まれている 時間とはいのち ひとりひとりの 胸にある 「どの人間にもそれぞれ心の中に、時間の源があるんだ」 そこでは光の柱が、振り子のように、ゆっくりとした速度で動いていて、そこで花咲く花が時間の花。 光の柱からはひそやかで壮大な音楽が聞こえてきて、モモはだんだん眠くなってきて、眠りに落ちていきました。 |
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11場「灰色の会議」 灰色の者たちのアジト。 モモを捕らえるための会議が行われていました。 モモが時間の領域を出たのであれば、マイスターホラが手を貸しているという事実に灰色たちは動揺・興奮します。 そこである男が提案します。 「あの子は友達を頼りにしています。 ベッポとジジ、そしてモモのところに遊びにくる友達がひとり残らずいなくなったらどうでしょう? 友達を取り戻すために、必ずホラの居場所を教えるはずです」 世界は灰色に染まっていきます。 シーン1 ベッポが精神病院に隔離され必死に訴えています。 「モモが、灰色のやつらに連れ去られたんだ!わしは狂ってないんだ!」 そこへ灰色の男が現れます。 「モモを取り返したければ、10万時間貯蓄してもらおう」 「わかった。」 シーン2 ジジがギターを弾いています。 そこへ大人のビビガールがやってきました。 「テレビ局のものですの。物語を作るあなたのすばらしい才能を売ってください。 わたしどもの力であなたをスターにしてさしあげますわ。いらして・・」 ジジは喜んでついていきます。 「チャンスが巡ってきやがった!!」 シーン3 子供たちが遊んでいるところへ灰色の者たちが忍び寄ります。 「子供には直接手をだすな。大人たちに管理させるんだ」 奪え 奪え 奪ってしまえ 人間の時間を盗むのだ 人間の心を灰色に染めろ 我々の灰色の世界を築くのだ 不気味な笑いがすさまじく響き渡ります。 |
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第二幕「時間の花」 | |
12場「食べ物はたっぷり、話はちょっぴり」 スピード料理店の店内で、ニノとリリアーナはせっせと食事を作っています。 お客たちは急いで食べています。 そこへモモがやってきました。 モモは一年も眠っていたことにびっくりします。 リリアーナの話だとジジはテレビの大スター、ベッポは一年前から行方不明になっているというのです。 ゆっくり話している暇はありません。 お客さんが急ぐからです。 モモはジジの元へ向かいました。 |
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13場「ジジとの別れ」 テレビ局にモモはやってきました。 そこへジジがあらわれます。 ジジの周りには三人の秘書がスケジュールを忙しく伝えています。 モモはジジに話しかけます。 ジジも気づき、懐かしい再会を果たします。 そんな再会をみて秘書たちは、モモをテレビに出そうとします。 感動的な再会を流せば、大当たり請け合いだからと。 しかしジジは拒みます。 モモと二人で話をさせてくれるように頼み、秘書たちは出て行きます。 ジジは言います。 「戻りたくてももう戻れない。僕はもうおしまいだ。でも名声とお金をなくすのはいやだ。」 そしてモモに哀願します。 「モモ。僕と一緒にいてくれ。王女さまみたいに暮らそう。ただ一緒にいて話を聞いてくれるだけでいいんだ。」 モモはジジの力になりたいけれど、いったようにしてはいけないと感じ断りました。 「ごめんね」 ジジもモモの気持ちがわかりました。 そして二人で「スマイル」を歌います。 そこへ秘書たちが現れます。 「時間です。」 |
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14場「こどものいえ」 夕方の町の中でモモは昔、一緒に遊んでいた子供たちをみつけます。 子供たちは列になって行進していました。灰色の制服を身にまとい、笑顔はありません。 モモは皆に話しかけます。 「すごくさがしたのよ。これからあたしのところにこない?」 しかし子供たちは首をふります。 「だめなんだ」 「今はなにもかもが違っちゃったんだ」 「もう僕たち時間を無駄にできないのさ」 モモは言いました。「今までだって無駄になんかしていなかったわ」 「いこう。怒られちゃう。」 こどもたちは「こどものいえ」という近代的で進歩的で大人になるための勉強をするところにいかなければいけないことをモモに伝えます。 そんな皆にモモは言います。 「こどものいえをぬけだして、皆でのはらへいきましょう。」 皆はあのころを思い出し、楽しく歌い、踊ります。 そこへアントレイがやってきました。 「なにやってんの!!ぐずぐずすんな。時間がもったいない。」 アントレイはこどもの家の管理人になっていて昔の面影がありません。 それでもモモはアントレイだとわかり、追いかけようとします。 そんなモモの行く手を灰色の者たちがふさぎました。 無駄だ ここは通さないぞ お前は ひとりだぞ お前の友達は われらの手に落ちたのだ お前にやってほしいことが ひとつあるのだ お前が素直に聞けば 友達はかえしてやろう。 モモはその話を聞いて灰色の者と真夜中に話をすることに決めました。 |
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15場「大きな不安と小さな勇気」 真夜中の円形劇場の石段でモモは眠っていました。 そこへベッポが無我夢中で道路掃除をしながら現れました。 モモは目を覚まし、ベッポのほうへ近づきます。 「ベッポ、ベッポなのね。」 しかしベッポはモモの言うことに耳をかそうとしません。 ひたすら道路掃除に没頭しています。 「じゃませんでくれ。モモを助けるために時間を貯蓄しなければならんのだ。」 「のろのろするな。せかせかはたらけ。のろのろするな。せかせかはたらけ。」 「ベッポ、ベッポいかないで!!」 モモは目を覚ましました。 「夢だったのね。」 もう真夜中。灰色の者たちとの約束の時間です。 モモは急に怖くなってきました。逃げようとしますが、自分にいいます。 「ダメ。逃げちゃいけない!」 モモは「スマイル」を歌い、自分を励まします。 「怖くても負けない!皆を助けるのよ!!あたしはここよ!!!」 そのとき、いっせいに無数のライトがモモを照らしました。 灰色の者たちです。 灰色の者たちはマイスターホラのところに案内をすれば友達を返してやろうと提案してきました。 しかし、モモはホラの居場所はしりません。 知っているのはマイスターホラのカメ、カシオペイアだけです。 それを灰色の者たちにつげると灰色の者たちはカシオペイアの捜索にかかりました。 灰色の者たちはいっせいに散っていき、モモは草の上に倒れていました。 そこへカシオペイアがやってきました。 カシオペイアはモモをホラのところに連れて行きます。 しかし、灰色の者たちはそれを物陰からみていました。 そのあとをついて、ホラのところにいこうというのです。 |
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16場「マイスター・ホラの計画」 モモとカシオペイアは時間の国へ戻ってきました。 そこへ灰色の者たちがやってきました。 そう。ホラたちは灰色の者に包囲されてしまったのです。 「灰色の者たちがすっている葉巻は時間の花の葉巻。やつらは葉巻なしでは生きていけない。」 ホラは提案します。 「私が眠ると、その瞬間からすべての時間が止まってしまう。 しかし、お前に時間の花を一輪だけ渡しておく。そうすればお前は一時間だけ、動ける。 お前はやつらのあとをつけて、時間貯蔵庫から時間を取り出せないようにじゃまをしなくてはならない。 最後の一人が消えてしまったら、盗まれた時間を全部開放してやるのだ。 この時間が皆のところに戻っていったらはじめて世界は救われ、私自身もねむりからさめることができるのだよ。 これが最後のたったひとつの道だ」 モモはきっぱりといいました。 「やってみます。」 そしてホラは眠りにつきました。 モモの手には時間の花がありました。 そこであわてるのは灰色の者たちです。 「時間が止まったぞ!」 「破滅だ!!」 「貯蔵庫へ急げ!!!」 灰色の者たちをモモとカシオペイアは追跡します。 |
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17場「灰色の者たちの消滅」 シーン1 時間が止まったためにすべてのものが静止しています。 灰色の者たちはそこをすり抜けてアジトへ急いでいます。 葉巻がどんどんなくなっていき、葉巻の奪い合いになって、残ったものが時間貯蔵庫へ向かいます。 モモは追跡途中に止まっているベッポを見つけました。 「ベッポ。大好きなベッポ!!」 しかし、灰色の者たちを追うのが優先です。 「まってて!!」 モモは急ぎます。 シーン2 灰色の者たちのアジト。 時間貯蔵庫の扉が少し開いていました。 灰色の者たちは安心しました。 そして灰色の者たちはこれからのことについて作戦会議を開きました。 カシオペイアがモモにささやきました。「扉をしめなさい」 言われたとおりモモは時間貯蔵庫の扉を閉めました。 灰色の者たちは大慌て。扉を開けようとしますが、あきません。 灰色の者たちはモモの持っている時間の花を取り上げようとします。 しかし、どんどん葉巻が切れていき、また奪い合いになりました。 二人の灰色の者がのこり、モモに攻め寄ります。 「さあ、おとなしく花をよこすんだ!」 「花は私のものだ!わたしのだ!!」 「俺のだ!!」 二人はもみ合い、二人とも葉巻を落として消えてしまいました。 カシオペイアはモモに言いました。「扉をあけなさい」 扉を開けると時間の花たちが人間の心の中に戻っていきました。 「ワレワレノショウリダヨ」 時間の嵐が吹き抜けて、美しい時間の花が渦を巻いて飛び回り、豊かな音楽が流れます。 |
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18場「新しい始まり」 時間の花が町の中に降り注ぎ、静止した世界に舞い落ちてみんなが動き出しました。 「春の目覚めのようないま。新しい今日のはじまりだ!」 そこへモモがやってきました。 モモは皆に抱擁されます。 そこへジジとベッポもやってきて、皆で泣き、笑い、歓喜の渦が巻き起こります。 そしてみんなで「モモといつまでも」を歌います。 「モモはわたしたちのたから。モモを見失わぬように、いつまでもいつまでもしっかりと生きよう。」 「さあ!出発だ!!」 ジジの合図で皆は歌いながら円形劇場の廃墟へ行きます。 |
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エピローグ シーン1 時間の国。 ホラ「カシオペイア、よくやってくれたね。さあ、すっかり話しておくれ」 カシオペイア「マタアトデ」 くしゅんとかわいいくしゃみをしました。 ホラ「灰色の者たちの冷気にあてられたんだね。さあ。手足を縮めてゆっくりおやすみ」 カシオペイア「アリガトウ」 物陰にもぐりこみ眠るカシオペイア。 シーン2 円形劇場。皆が石段にぐるりと腰をかけていて、モモが真ん中に立っています。 「星の声と時間の花の言葉」 耳を澄ましてごらん ほら 心の中の時間が ゆっくり時を きざんでいる 耳を澄ましてごらん 夜空にきらめく 星たちが素敵な音色 奏でている 豊かな時間を感じて生きよう とりひとりに与えられた時間 美しいときを大切に 耳を澄ましてごらん ほら 星の声と時間の花の言葉が 聞こえるでしょう。 |
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