第67回公演  魔の森のなぞかけ鬼と銀のシギ
『パイがもどるまで』

ドル(写真右手)とポル(写真左手)は6人姉妹兄弟の長女と次女。
ドルは、いつものように、糸紡ぎそっちのけでぼんやり物思いにふけっています。知りたがりのポルはかあちゃん(写真中央)のパイ作りを手伝いながら、いろんな質問をしています。
ポル:「パイ、いつできるの?」
かあちゃん:「30分たてば、もどるよ。いつだって、きちんともどるんだ。」
ポル:「なぜ、もどるって言うの??」
かあちゃん:「こう固まったものが、こう膨らむからだろ。」
ポル:「ふうん?」
『ドルとポル』

ドル(写真右手):「あたしは、好きなことしたい。糸つむぎは嫌いだ。」
ポル(写真左手):「なぜ、嫌いなの?」
ドル:「できないからさ。」「できないこと、好きになるもの、いるもんか」
ポル:「そんなことない!あたしは、鳥みたいに飛べない。だけど飛びたい。あたしは、ウサギみたいに跳べない。でもああいうふうに跳びたい。あたしは、女王になれない。でも…」
ドル:「あたしも、女王ならなりたいわよ。」
『月のお姫さま』

ドルは、かあちゃんに頼まれ、海辺に住むチャーリー・ルーンのところへ、魚をもらいにきました。
浜辺でポルがチャーリーから魚をもらっていると、一羽の鳥が、空気をつんざくような、恐れの叫び声をあげます。すると、けだもののような奇妙な生き物が、鳥の羽根をつかんで砂浜をかけてきます。
チャーリーとポルは格闘のすえ、その鳥を助けることができました。 チャーリーは、その鳥がこの世にただ一羽しかいない”銀のシギ”であることに気付きます。 そして、チャーリーは、銀のシギについて語りはじめるのでした。
月の男と月の姫が青い地球におりてきたこと。その時、月の男は頭にこぶをつくり目をまわし、月の姫は姿を銀のシギに変え、風にのって舞い降りてきたが、もとの姿に戻れなくなってしまったこと。 お姫様がもとの姿に戻る魔法のまじないを、月の男が知っているのですが、チャーリーは月の男のことを思い出せません。
写真の中央が、銀のシギについて語るチャーリー。右手は、それを聞き入っているポルと、傷ついた銀のシギ。
ポルは、銀のシギを家へつれて帰り、また飛べるようになるよう、世話をするのでした。
『今朝は左足』

場面は変わって、ここはお城の御殿。
実をいうと、この城の王様ノルケンスは、二つの性格を持っています。 朝起きて、どっちの足を先にベットから出すかによって、その日の機嫌が決まるのです。
今日はなんと、不機嫌な左足!ノルケンスの機嫌が悪いと、手がつけられません。召し使いや従者たちは、大慌て。
写真は、その慌てふためきの歌・ダンス『どっちがこっち』。
『ノルケンス王と大臣』

みんな、クモの子を散らすみたいにこの場を去るが、大臣は、パジャマ姿のノルケンス王に、呼びだされてしまいます。
ノルケンス :(不機嫌に)「大臣、大臣!大臣は、どこだ!」
大臣 :「はいはい。ここでございます。」
ノルケンス :「貴様、俺をバカにしたな。」「はいはい、だと!はいは、一回でいいとあれだけ言っただろう。」
大臣 :(慌てて)「へい、へい。」
ノルケンス :「へいへいもダメ〜!こんど言ったら打ち首だぞ。」
この後、ノルケンスは、城内で大暴れ。
『ノルケンス大暴れ』

左から…、牛小屋の牛乳やチーズを、足でかき回され、踏んづけられた、乳絞りのメグス。
台所の粉箱・砂糖袋・コショウ入れ・油つぼ・火にまで鼻をつっこまれたコックのクッキー。
折角、洗い上げた洗濯物をめちゃめちゃにされた、洗濯女のルチア。
3人は、ノルケンスの乳母ナン夫人に、「今日から、あと一月で休ませてもらいます!」と訴えに来たのですが、ハチャメチャな姿のノルケンスに、つかまってしまいました。
ノルケンス :「僕の台所、僕の牛小屋、僕の洗濯場だ。僕がどうしようと僕の勝手だ!」 王様はかんしゃくを起こした子どものようにドタンバタンあばれます。が、ナン夫人の雷で、この場はおさまりました。
「ノルケンスの二つの性格を治すには、結婚すればいいのです。」とナン夫人。
ナンとノルケンスは、花嫁探しへ出かけます。花嫁の条件は、「この国で一番の糸つむぎ娘」であること。
『かあちゃん、おったまげる』

さて、再びドルとポルの住んでいる小屋です。
かあちゃんはパン屋へイーストを、ポルが浜辺へ魚を貰いに行っている間、ドルは6人分のパイ12個を、全部たいらげてしまいました。
それを知ったかあちゃん、ポル、腹を空かして帰ってきた子ども達は、とてもおったまげます。
『花嫁ドルと糸つむぎ』

ちょうどそこへ、花嫁探しのノルケンス王が訪ねてきて、かあちゃんは、またもやたまげます。
ノルケンスの「何にたまげたんだな?」の質問に、かあちゃんは、 「あっ、あの。(麻が目にはいって)あ、麻糸が12かせでございます。王様。」 と、答えてしまいます。
それにあわせてポルも、 「そうです、王様。30分で麻糸を1ダースちょっきりつむぎました。」
ナン夫人:(興奮して)「30分で麻糸を12かせですと!」
ポル:「あの、驚かしたのは、あたしじゃありません」「あたしの姉ちゃんです。」
ドルを見たノルケンスは、一目惚れ。ナン夫人もドルの糸紡ぎの腕に大満足。ドルは、王様の花嫁に決まり、みんな大喜びです。
ところが・・・ノルケンスは、こんな条件を出します。
「1年後、ドルは麻の一杯入っている部屋に閉じ込められて、私のシーツとタオルとハンカチにする麻糸をつむがねばならぬ。」「そして、もしつむげない場合には、首をちょん切られる。」「そうだ!今、ここで試してみることにしよう。」「ドルとおがやんが、本当のことを言っているかどうかをだ。」 みんなは外へ出され、ドルは一人きりにされ、30分で12かせつむがなければならなくなりました。
ドルはため息をつきます。すると・・・
『糸つむぎ鬼』

奇妙な音。
どこからともなく、「おめい、なんで(ドルのため息を真似て)…しているだか?」と、糸つむぎ鬼が現れます。
ドルが事情を話すと、鬼はくるくると回って悪知恵をひねり出します。
:「ひ、ひ、ひー!おめいと取り引きをすべい。わしが、おめいのためにその麻をつむごう。」
ドル:「30分で?」
:「あっという間に。だが、わしは、礼がほしい。ケッケッケ!今日から1年目の日に、またやってくる。その時、おめいは、わしの名前を当てにゃならん。うまく当てれば、それっきりおめいの前から消えうせる。」
ドル:「もし、当てなかったら?」
:「おめいはわしのもの。」
ドルは、最初いやがりますが、1年の長さと、9回であてればよいという条件に、「きっと当てられる。簡単よね。」と、約束をしてしまします。
:「俺がつむいでいるあいだ、おめいは、目を閉じているんだ。いっちょ、おっぱじめるかな。」
『なんて素敵な日』

小屋の中には、麻糸が12かせ置いてあります。
ドルが夢からさめて目をこすっていると、みんなが入ってきます。
ポル:「つむぎあげたのね!」
かあちゃん:「やってのけた!」
子どもたち:「やった、やった!」
ナン:「ぴったり12かせ!」
ノルケンス:「よくやった。お前は、やってのけたぞ!」
そして、ノルケンスは、ドルにプロポーズ。
みんなで賑やかに『お祝の歌』を歌い踊りながら、婚礼のために教会へ向かいます。国中あげてのお祝です。
『忘れてなかった約束の日』

婚礼から1年が経ち、ドルに女の子の赤ちゃんが生まれました。
そして、明日は命名式。赤ちゃんに名前を決めて、みんなでお祝をする日です。
銀のシギも、御殿の庭に大きな鳥かご作り、住まわせていました。でも、翼はまだ治っていません。
写真は、ノルケンスが赤ちゃんを可愛がっているところ。
ノルケンス :「いやー、僕に似てめんこい。髪は麻のようにしなやか、目は麻の花のように青い。いないいないいないのばあ!」(突然)「そうだ、麻で思い出した。今年は、麻の収穫は、まったく素晴らしいもんだ。」
ドル :「そう。」
ノルケンス :「最高記録だ。お前には良いニュースだろう。」
ドル :「どうして?」
ノルケンス :「どうしてだと?今日が、どんな日か忘れたかね。」
ドル :「そういえば、私たちの結婚記念日だわ。」
かあちゃん :「もう1年たったんだね。」
ノルケンス :「いかにも1年たった。あの日から、きっかり1年。」
ポル :「ねえちゃんが、やってのけた日よ!」
ドル :(ギョッとして)「あっ!」
ノルケンスは、1年前の約束通り、麻の一杯入っている地下室で、麻糸をつむがせようとします。できなければ、首をちょん切るつもりです。
ノルケンスのあまりの薄情さに、怒ったポルは、ノルケンスと大ゲンカをはじめます。
あまりの騒ぎに、仕事をしていた召し使いや従者たちが、驚いて御殿にやって来るほど。ですが、ナン夫人の一喝で、二人はそれぞれの部屋へ追い出され、ナン夫人と他の者たちもそれぞれの仕事へもどります。
残ったのはドルと赤ちゃんの二人だけ。
ドル :(ため息をついて)「ああ、あたしの赤ちゃん。ああ、どうしたら、いいんだろう。ああ、ああ、どうしよう。お前の命名式を、きっとあたしは生きて見られないんだ。」
ドルは両手を顔でおおい、すすり泣いてしまいます。
『鬼との約束』

すると、奇妙な音。
どこからともなく、「おめい、なに泣いてるんじゃい?」と、鬼が現れます。
ドル:「お前さん、なんで来たんだよ。」
:「ひひひー!1年がたったぞ、ドル。(喜んで飛び跳ねながら)おめいは、わしのもの、わしのもの。」
ドルは、9回名前を言うのですが、全部はずれてしまいます。
鬼は『わしのもの』を歌い踊りながら喜びますが、赤子を見ると、くるくると回って悪知恵をひねり出します。
:「じゃあ、こうすべいか。わしは明日、もう一度やってくる。今度は3回、当てさせる。それで、うまく当てねば、おめいと赤子は、これからずっとわしと住む。」
ドル:「もし、あたしが当てたら、お前さんは二度と出てこないね?」
:「それが約束だ、ドルよ。」
ドル:「ああ、だけど、どうしよう!」「今日の夕方までに、麻をつむがないと、あたしの首が飛ぶんです。」
:「…わしは、わしの約束を守る。おめいは、おめいの約束を守れよ、ドル女王よ。今日、おめいの麻をつむいでやる。明日は、おめいとおめいの娘は、わしのもの。ケッケッケッケー!」
鬼はくるくる回って姿を消してしまいます。
『闇の中から』

鬼と約束した後、ドルは、思いつめています。
そこへポルがやってきました。
ドルから事情を聞いたポルは、「赤ちゃんを、赤ちゃんを連れて行く!やれるものなら、やってみるがいい!」「あたしが、そいつの名前を見つけてみせる。きっと見つけてやる。」
麻の準備が整い、ドルが糸つむぎの部屋へ呼ばれると、ポルは独りになりました。
ポルは貝を手にして、『つぶやく貝を』を歌います。
♪ 貝 貝 つぶやく貝よ こたえて
♪ あいつの名前を あたしに話して
♪ あたしの耳に あの名を ささやいて
♪ あたしのだいじな だいじな人を
♪ うばいにくる あいつの あの名を
♪ 名前をあたしに 話しておくれ・・・
ポルが歌い終わると突然、鳥の鳴き声が聞こえました。
ポルが窓辺へ行くと、銀のシギが高く高く空に舞い上がって行きます。
ポル:「よくなったんだ、飛べるんだ!」「(叫ぶ)銀のシギ、あたしに道を教えて!」 ポルは銀のシギを追って行きました。
『銀のシギ』

海辺では、チャーリーが笛を吹き、そして『満月の宵には』を口ずさんでいます。
すると天空からシギの鳴き声。銀のシギが舞い降りてきました。
チャーリー:「銀、治ったのか!」
銀のシギは優雅に舞いはじめます。喜びを表現している様でもあり、何かをチャーリーに訴えているようでもあります。
そこへ、シギを追い掛けてきたポルが走ってきます。
チャーリー:「さっきの、踊り。俺はどっかで見た気がするんだ。でも、思い出せない。」
ポル:「シギ。何故、あたしをここへ連れてきたの?」
シギは、クルクル回りだし、懸命に動作をくり返します。
チャーリー:「俺には、わかった。銀は、魔の森で一番悪い奴。鬼の真似をしているんだ。」「奴は魔の森の主だ。」
ポル:「あたし、あいつを探しに魔の森へ行ってくる。」
『ポルの決意』

チャーリーは、奇妙なけものの皮を持ってきます。
チャーリー:「俺が捕まえた、魔の森の生き物だ。やつの皮を日干しにしておいた。」
すると、シギが走り寄ってきて、その皮を懸命にポルに押し付けようとしました。
チャーリー:「そうか、わかったぞ、わかった。銀、ありがとう!」「(ポルに)こいつをかぶるんだ!」「・・・奴らの仲間になって、だますんだ。」
チャーリーは、鬼の手下・魔の森の生き物の毛皮をポルにはかせます。
ポル:「(ふるえながら)いっしょに、行ってくれるのよね?」
チャーリー:「ああ、行くよ。俺は、お前を魔の森の真中近くまで連れていき、少し離れたところに隠れている。奴らは俺を知ってるんだ。俺をみたら、お前もひとたまりもなく、やられてしまう。一人でやれるか。」
ポル:「やる!」
ポルが、魔の森の中へ入っていくと、2匹の奇妙な生き物に捕まってしまいます。
チャーリーも、身をひそめながらポルの後を追います。頭上には、銀のシギの鳴き声も・・・
『魔の森』

魔の森では、クモ婆(写真一番右)が黒い鍋をかき回しています。
その周りで奇妙な生き物たちが、材料を運んだりしてはい回っています。
そこへ奇妙たちに引っ張られて、奇妙な生き物に変装したポル(写真中央)がやってきました。
ポルは、どうすれば魔の森の仲間になれるかをクモ婆に聞きながら、鬼の名前をさぐります。そこへ鬼が帰ってきたのです(写真一番左)。
鬼は明日、ドルと赤ちゃんを手にいれられるとあって、上機嫌。
:(笑って)「(わしの名前を)当てられるものか。あてられねいとも。当てられねい、あてられねい!」
ポル :「もちろん、当てられませんとも!あなたは賢いですからね!」
:「そうとも、そうとも。」 が、鬼は恐ろしいほど燃える目で、ポルをにらみます。
:「なんでい、こいつは?」
クモ婆 :「仲間にへえりたがっております。」
:「おめいをテストせずばなるめい。」 鬼は3問の問題を出します。
ポルは、客席の子どもの助けを借りて、2問目まで難なく答えますが、3問目は難問です。
:「クモ婆は、卵好き。朝の食事は、毎日卵。だが、ニワトリは飼ってねい。卵は買わず、借りもせぬ。盗みもせぬし、もらいもしねい。クモ婆は、どうして卵を手にいれた?」
ポルは懸命に考え、大鍋に放り込まれる寸前で、答えことができました。魔の森の仲間になったポルは、すかさず鬼に聞きます。
ポル :「仲間になったんだからよ。名前を教えて?」
:「ひ、ひ、ひ!そいつを言えば、こっちの身があぶねい。…さあ、みな踊れ、飲め、騒げ、踊れ!」
鬼と奇妙たちは騒ぎ、『ひねりだせ悪の知恵』を歌い踊ります。ポルもテストとして一緒に踊らされます。
踊りはあまりにも激しく、踊る間にポルがかぶっていた頭がとれてしまいます。
:「こいつは、女王の妹だ!」
奇妙たち :「鍋へぶち込め!大鍋へ!」
「やめろ!」寸前のところで、チャーリーが笛の音とともに現れます。
『悪との闘い』

チャーリーの奇妙たちを眠らせる笛の音と、鬼の悪意のこもったまじないの攻防が続くが、最後には火花を散らす鬼の悪魔の呪いによって、チャーリーとポルは木に縛りつけられてしまいます。
奇妙たちは、けたたましく笑い、鬼は勝ち誇り、クルクル回りながら叫びます。
:「日がのぼった!」「命名式の日じゃ!トム・ティット・トットは、式にでるぞ!」
ポル:「トム・ティット・トットだって!」
鬼と奇妙たちは、『トム・ティット・トット』を歌い踊り、喜び騒ぎ、森の闇の中へ消えて行きました。
ポル:「・・・(大声で)あいつの名前は、トム・ティット・トット!トム・ティット・トットよーっ!(叫ぶ)ドルー、聞こえた!」
命名式を告げる鐘がかすかに聞こえ、ポルががっくりしていると、突然、銀のシギが舞い降りてきました。
『銀のシギの助けと、大切なまじない』

チャーリー:「突っついて、取ってくれ!切ってくれ!」
銀のシギは、くちばしで一生懸命ひもを突っついてひもを切り、二人は自由になります。
ポル:「(シギに抱きついて)ありがとう、ありがとう!自由になれた!」「あたし、行く。走って、走って、走るわ!」
残ったチャーリーは、銀のシギに話します。
チャーリー:「わかった。俺が誰なのか、どこから来たのか!」「お前と一緒に、月からすべり落ちてきた。俺は、月の男。」
銀のシギは喜び、チャーリーに近付きます。
チャーリー:「キシニアン、ディオニシウス!よみがえらせたまえ、清く、美しい、月のお姫様を!」
『なんと なんと なんと』

お城の人々は、命名式のために着飾り、浮き足だっています。
でも、ドルは今にも泣き出しそうで、命名式には行かない、と、いいます。
みんなは、何故行かないか、ドルに聞きます。
ドル:「みんな話します!(意を決して)なぜだか。私、糸一本もつむいだわけじゃないんです。」
大臣:「じゃあ、誰があの麻をつむいだのでございますじゃ?」
ドル:「鬼。」
そして、ドルは、今日、鬼がその支払いとして自分と赤ちゃんを取りにくること、ノルケンスのかんしゃくが怖かったために、そんな約束をしてしまったことを話します。
それを聞いたノルケンスは、とても反省しますが・・・
「ひ、ひ、ひ!ひ、ひ、ひー!」「お待ちかね〜っ。」と、鬼が現れてしまいます。
城の人々は、鬼に他のもので満足してもらうために、それぞれの大切なものを取りに行きます。
庭師のジャック:俺の選定鋏だ。これ以上のもんは、まずねえ。」
コックのクッキー:「私の一番上等なソースなべだ。」
洗濯女のルチア:「特製の洗濯板だよ。」
コックのシュガー:「よくいためられる、フライパンよ。」
5人:「さっさとこれをもって、しっぽをまいて出ていきな!」
:「でていかねい!」
鬼は、自分の名前当てを始めるよう、みんなをせっつきます。
みんなが一生懸命相談しているところ、一人で考えていたノルケンス王が、「わかった!お前の名はチヒロだ!」「千とチヒロだ!」「お前の名はクレオパトラだ!」と、2度もチャンスを無駄にしてしまいます。
:「・・・秒読みだ!とうう、ここのつー、やっつー、ななーつ、むっつー・・・」 その時です。
息もたえだえのポルが客席の後ろから、現れます。
ポル:「(激しく叫ぶ)なんと、なんと、なんと。お前の名前は、トム・テイット・トット!」
城の人々みんなも「なんと、なんと、なんと。お前の名前は、トム・テイット・トット!」名前を叫ばれた鬼は、この世界から消えてしまいました。
『赤ちゃんの名前』

ドル:(ポルに)「ありがとう、ありがとう。赤ちゃんも、あたしも助かったわ!」(みんなに)「あいつの名前を見つけに行ってくれたのよ!」
かあちゃん:「ポル、お前。」
ポル:「あの鬼は、魔の森に住んでいたの。」
みんな:「魔の森!」
クール(次男):「姉ちゃん、魔の森に入ったの。」
ポル:「ええ」
マリル(三女):「化け物いた?」
ポル:「いたわ」
ハール(四女):「怖かった?」
ポル:「怖かったわ。」
エイル(長男):「よく、やったな!」 かあちゃん:(ポルを抱いて)無事でよかった、よかったよ。」
ポルにしか見えない神秘的な光に包まれ、月の男と月のお姫様が現れます。
月の男:「僕だよ、チャーリーだよ。」
月のお姫様:「ケガを治してくれてありがとう、ポル。」
月の男:「銀のシギだよ。」
月のお姫様:「あなたの思いやりと勇気が、赤ちゃんを、お姉さんを、みんなを、そして私を救ってくれたのよ。感謝します。ありがとうポル。」
ポル:「お姫様。あなたのお名前を、聞かせて?」
月のお姫様:「あたしの名前は、ルナよ。」
三人:「さようなら」
ドルは、赤ちゃんの名前をルナにしたいと、ノルケンスに言います。
ノルケンス:「よし、ルナにしよう!ドルがそう思うなら、そうしよう!」
『お祝のうた』

教会の鐘は鳴り響き、みんなは、『お祝のうた』を歌い踊ります。
♪ さあ祝え 祝え 祝え ♪ 王女さまの命名式だ ♪ さあ教会へ さあ教会へ ♪ 教会の鐘よ 鳴り響け ♪ とても嬉しい とっても素敵 ♪ 名前には想いがある ♪ 想いには夢がある ♪ お祝だ お祝だ ♪ 心はずませ 踊ろうよ ♪ 幸せ万歳 勇気万歳 ♪
 国中あげて お祝だ みんなは、愉快に楽しく歌を歌いながら、命名式へと向かうのでした。