第69回公演
夏の夜の夢

名場面集
1幕1場
アテネの公爵シーシアスはアマゾンの女王ヒポリタとの婚儀をあと4日に控え、幸せな焦燥感を味わっていた。
そこへ貴族イジーアスから訴訟が持ち込まれる。娘のハーミアが親の意思を無視して別な男と結婚したいと言って聞かないというのだ。
アテネの法律によれば、親の意向を無視した娘に与えられる選択は死か、生涯を神々に捧げるか、どちらかしかない。
公爵はハーミアに考える猶予を与える。絶望のどん底にいるハーミアに恋人ライサンダーは駆け落ちを持ちかけ、あくる夜、実行することにする。
1幕2場
一方、アテネの職人たちは公爵の結婚を祝って、披露宴で劇を上演しようとしているが、その内容はどうやら本人たちの意気込みとは裏腹にとんでもないドタバタ劇になりそうである。
趣向が人々にバレないように森でリハーサルをすることにする。
2幕1場
さて、アテネの森には緊迫した空気が漂っている。
妖精の王オーベロンと女王のティターニアがインドから連れ帰った子供をめぐって夫婦げんかの真っ最中。
怒り狂ったオーベロンが惚れ草の汁で女王に恥ずかしい思いをさせようと計画を立てているところへ、ディミートリアスとその彼を追うヘレナがやって来る。
ディミートリアスはハーミアをライサンダーの手から取り返そうとやって来たのだ。
ディミートリアスに邪険に扱われるヘレナに同情したオーベロンは惚れ草の汁を女王の目に塗った後、ディミートリアスにも塗ってやろうと、パックに命じる。
2幕2場
さっそく、妖精たちの歌で眠ったティターニアを、オーベロンが惚れ草の汁を塗る。
ところがパックの方は、ディミートリアスを見ていないため、駆け落ちの途中で眠ってしまったライサンダーを当人と勘違いして、彼の目に惚れ草の汁を塗ってしまう。
しかも、そのライサンダーが目覚めて最初に見たのが、ヘレナだったから、さあ大変!ライサンダーがハーミアではなく、ヘレナを好きになってしまったのだ。
3幕1場
さて、女王の眠る森の一角で職人たちのリハーサルが始まった。
悪戯者のパックはボトムの頭をロバの頭に変えてしまう。
職人たちはおそれおののき、逃げて行く。その騒ぎで妖精の女王が目を覚まし、ロバ頭のボトムに惚れてしまい、熱烈な求愛をする。
3幕2場
パックの間違いに気付いたオーベロンは自分の手でディミートリアスの目に惚れ草の汁を塗る。
そこにヘレナがやって来て、目覚めた彼から熱烈な求愛を受けるが、喜ぶどころかみなハーミアのさしがねと思いカンカンに怒り、女同士の大喧嘩になる。
止めに入った男同士も決闘騒ぎ。パックは魔法で4人を眠らせライサンダーの目には惚れ草の解毒剤を塗る。
4幕1場
しばらく、女王の醜態を見ていたオーベロンだが、哀れを催し、女王の魔法も解き、仲直りする。
朝になり、目を覚ました二組の恋人たちは、夢とも現ともつかない昨晩の不思議な体験を語り合いながらアテネの宮廷へ帰って行く。
もとの頭に戻ったボトムもアテネに帰って行く。
4幕2場
ボトムを心配していた職人たちは、ボトムが帰ってきたことに喜び、ボトムから自分たちの芝居が婚礼の演目に取り上げられたことを告げられて大喜び。
5幕1場
もめごとも納まり、いよいよ待ちに待った公爵の結婚式である。
二組の恋人たちも一緒に式を挙げた。披露宴では職人たちのおもしろおかしい「悲劇」が演じられ、真夜中の鐘が鳴ると、みな床に就く。
寝静まった宮廷を森の妖精たちが浄め、パックから観客への台詞で舞台はしめくくられる。