第71回公演
ブンナよ木から  
    おりてこい


名場面集

アンケート結果
1場
冒険好きのトノサマガエルのブンナは、7ヶ月も椎の木に登ったままおりてきません。
友達の蛙達は心配して呼びかけます。
「おーい、ブンナー!木からおりてこーい!」
そんなときに蛙達の大好物であるちょうちょがあらわれます。
蛙達は食べてやろうとみんなでとびかかりますが、ちょう達は逃げてしまいました。
こんな時に出るのはブンナの話題。
憎まれ口をたたく者もいますが皆、ブンナが大好きです。
もう一度、「ブンナーーー」すると、なんとブンナがおりてきたのです。
大きな椎の木からおりてきたブンナは再会を喜びます。
椎の木の上で冬を過ごしたというブンナ。
そこで体験した、恐ろしく悲しく美しい出来事を、語っていきます
2場
椎の木のてっぺんに登ったブンナは、雀の夫婦に出くわしました。
ブンナは言います。「雀さんはいいですね。自由に大空を飛べて。」
しかし雀は、「蛙のほうが気楽で良いよ。僕達は生活する為に飛んでいるんだ。」「こうやってないと、落ちるのよ?」
それでも羨ましがるブンナに、2人は呆れて飛んでいってしまいました。
椎の木のてっぺんから見る風景にブンナは酔いしれます。
「他の蛙達はここには登ってこられない!僕だけの城。僕だけの楽園!!」
『僕はトノサマ』を歌って踊ります。
3場
他の蛙達にはできない事をやりとげたブンナに、質問が続きます。
ブンナのひとことひとことを、蛙達は瞳を輝かせながら聞きます。
そしてブンナは言いました。
「木の上の丸い広場には土があったんだ。」蛙達はおどろきます。
ブンナは話します。
次の日の朝、穴から出ようとしたら鳶が来た事。
蛙にとって鳶は敵!その木の上は鳶の獲物の置き場だった事。
恐ろしいところへ来てしまった事。
しばらくすると雀と百舌の話し声が聞こえてきて…。
ブンナは土の中で身をひそめて聞いていた事を。
4場
そこには鳶によって半殺しの目にあわされ連れてこられた雀と百舌が横たわっていました。
雀は百舌をおそれています。お世辞を使って何とかご機嫌を取ろうとする雀を百舌は見抜き黙らせます。
雀は自分が百舌に食われないように、昨日、ブンナが木の上にいた事を告げました。
そして土を掘ろうとしましたが、掘れません。そんな雀に百舌は言います。
「自分が助かるために蛙を犠牲にしようっていうのか?恥ずかしいと思わないのか?」雀は掘る事を辞めません。
「蛙さん、お話しましょう。いたら出ておいでよ」百舌は逆上して雀を怒鳴りつけます。「諦めが肝心だ!!」
・・・バサッバサッバサッ・・・その時、不気味な鳶の羽音が迫ってきました。
百舌はころっと態度を変え、さっきの雀のように先に雀を鳶に渡そうとします。しかし、鳶に連れ去られたのは百舌でした。
雀はあまりの恐ろしさに、うずくまっていました。
そして一羽になった雀は自分の無力さに対して涙を流し、「弱いってことは悪いことじゃないよね・・・悲しいことに違いないけど・・・悪いことじゃないよね」とブンナに訴えるのでした。
ブンナは自分自身にその言葉を問い、自分の一番辛かった去年の夏の日の出来事を思い出すのでした。
5場
かーえーるーのよーまーわーりーガーコガコゲッコピョーンピョン♪
いつものように遊んでいる蛙たちのところへえさやりにきたおしょうさんの説教がくりひろげられます。
おしょうさんのえさにパクついている皆をよそにブンナはすずし顔。「さっき女郎ぐもを食べたんだ。」
その言葉に木に登れない他の蛙達はうらやましがります。
ブンナは得意になって見張りを引き受け皆は遊び始めます。
そこで異変に気が付いたブンナ。なんとへびがこちらを狙っています。蛙たちは逃げました。
へびが去ったのを確認しながら、蛙達はブンナに感謝しました。
その時、ブンナはお母さんがいないことに気付きました。
その一瞬後、お母さんの叫び声と共にへびの笑い声―。母の元へ駆けつけようとするブンナを皆は必死で止めます。
悲しみに暮れるブンナに、老蛙は「不幸はいつも幸せの背中合わせにすんでいる」という事を告げます。
皆の励ましと共にブンナは、老蛙の言葉を染みこませていきます。
雀にその事を話してあげたいと思うブンナでしたが、ふいに思い出した、お母さんに生前言われていた言葉をかみしめ、穴からは出ませんでした。
やがて、次の餌が運ばれてきました。
6場
次の餌はネズミでした。雀は弱者、ネズミは強者です。雀はおびえます。必死に「食べないで」と哀願します。
しかしネズミもケガをしていて、そんな力はありません。ネズミは、何とかしてこの木の上からおりられないかと考えます。
力をつけるために食われるかもしれないと思った雀は、ブンナのことをネズミに言います。
ブンナを誘惑する様々な言葉を言い、おびき出そうとする雀。
「来年も卵を産んでまたヒナをかえして、私は生きたい」がために、蛙を犠牲にしようとする雀に、ネズミはおそいかかります。
そこへ、またもや鳶がきました。
ネズミは雀を、雀はネズミを鳶にさしだしました。鳶は雀を連れ去っていきます。
雀の泣き叫ぶ声を聞きながらネズミは自分を責めました。
7場
夜―。月のおしゃべりが始まりました。
そこへミミズクがあらわれ天気予報をします。
ミミズクが今夜の予報を時々雲が流れると予想したので、月はミミズクをおしゃべりに誘います。
そんな月の誘いにミミズクは自分はやることがあるといい、ネズミに逃げるヒントを与えます。
「月が出ている今チャンス」その言葉を聞いてネズミは、我を奮い立たせ木からおりる決意をします。
しかし、その後。土の中から出てきたブンナは、月が雲に隠されてしまうのを目にしました。
ネズミの叫び声が闇を切り裂きます。
8場
椎の木から落ちてしまったネズミは、その場で疲れ果て眠ってしまいました。
気がつくとネズミは木の上に連れ戻されていました。
ボロボロになったネズミの元に土の中からブンナが出てきます。
ネズミもブンナがいる事に気付きますが、食べる力も無く、逆にブンナの身を案じてブンナを土の下へ隠れさせます。
すると、そこに鳶がやってきました。
ネズミは自分が連れて行かれると思って身を伏せていると、そのまま鳶は去って行きました。
身を起こし振り返るとへびがいました。
急に立場が逆転してしまったネズミ。そんなネズミにへびは自分がへびである様々な苦労話をします。
そして今、頭を怪我したへびは、大きなものを飲み込めないという話をします。
しかし、「蛙ぐらいなら飲み込める」という発言に、ネズミはブンナがいる事がばれてしまうのでないかと、落ち着かない様子。
その様子に気付いたへびは、「何か隠してるだろう?どうだ!?」と、脅しをかけます。
そしてネズミは、蛙がいる事を吐いてしまいました。
へびは蛙を食べようと土を掘りましたが、その時聞こえた鳶の鳴き声に怯え、蛙を食べるのは、晩飯に取っておく事に決めました。
9場
ブンナの話を聞いていた蛙達は、へびのことを聞いて大騒ぎ。
そこへ他の蛙がやってきました。
みんなはブンナとの再会を喜び、そしてまたブンナの話を聞き始めます。
10場
次につれてこられたのは牛蛙。へびだって食べてしまう牛蛙に、ネズミもへびもたじたじです。
「いのちにそう未練はない」という牛蛙。牛蛙の話から、いつしか3匹はお母さんの自慢話を始めます。
そこへミミズクがやってきました。ミミズクによると、今夜は雨がふる模様。
ここからおりられないと知ったへびは、ネズミを食べる事で牛蛙に対して虚勢を張ろうとします。
そんなへびに怒った牛蛙はへびにかみつきます。牛蛙のほえる声、へびの泣き声、ネズミの叫び声が三つ巴になります。
降り出した雨は、3匹をつよく打ちつけました。
11場
「どうせ缶詰になる身だから」といって雨の中を飛びおりていった牛蛙に対し、へびは満足顔をしつつ助かったかもしれない牛蛙をうらやましがります。
へびは逃げる為に力をつけようと、土の中にもぐります。ブンナを食べる為です。
そこへ鳶がやってきて、ネズミはへびをつかまえ差し出します。
へびが連れて行かれ、ひとりになったネズミのもとにブンナは感謝して近寄ります。
ネズミは、ブンナに自分の過ちを話しつつ反省します。
もう長くないネズミは助かる事の出来るブンナに言います。
自分が死に、土に帰ったら出てくる虫を食べて、生きるんだと。俺から出た虫を食べた君が元気になって、俺の仲間やおふくろに逢ってくれたら、おれが生きていることと変わらないじゃないかと。
生きているものはみないのちをつなぎあっているんだと。
ブンナは涙を流しながらネズミから出た羽虫を夢中で食べました。
そして、長い長い冬を越しました。
12場
ブンナの話を聞いた蛙達は、生きている喜びを実感します。
「今日一日を生きられる喜び。昨日の悲しみを乗り越えて。悲しみを忘れる事は難しい。でも乗り越える力を抱いて。ぶつかる事や傷つく事を恐れず。太陽に大きく胸を張って。」
そして蛙達はブンナと共に歌います。
「かけがえのない生命、かけがえのない今日を、生きて生きて輝け」