飛びきりのことばでしゃべりたい

演出/さとう としかつ

この芝居は、2000年にけいこ場公演として選び、けいこを数回おこなったのですが、上演許可がとれずお蔵入り、急きょ「キネマの天地」(井上ひさし/作)に切り替えた経過があります。

以来、たびたび上演作品として候補に上がっていたのですが、やっとここで挑むことに決ま りました。

その時の役者は2人しかおらず、心機一転7人が入れかわり演じます。

「ら抜き」なんて奇妙で、「殺意」なんて物騒なタイトルと思いきや、楽しく親しみやすい物語なのです。

それは、私たちが何気に日常使っている言葉を題材にしているからです。

ら抜き言葉(「見れる、来れる」など)、さ入れ言葉(・・・させていただきます)、敬語(尊敬語・丁寧語・謙譲語)、若者言葉、ことわざ、女言葉、方言、コギャル語、カタカナ語・・・・次から次に噴出する言葉ことば言葉。

時は現代、舞台は健康食品の通販会社の倉庫も兼ねた事務所。

登場人物は、社員・バイト・社長夫婦・お客・恋人。どれをとってもまさに面白い素材です。

「ことば」はそれを話す人の生き方であり、人間性そのもの。そして時代とともに変化していもの。

日本語の特徴や魅力をたっぷりと表現しながら、人間模様を豊かに描きたいと思っています。

言葉のバトルを繰り返しながら、最後いきつくところ・・・・・そのメッセージを味わってください。


けいこ場公演は「火のようにさみしい姉がいて」以来、3年ぶり久々の取組み。

けいこ場での公演は、間近で演じる臨場感あふれる舞台、劇場と違った魅力・迫力があり人気が高いです。

来年夏に上演する「オリバー・ツイスト」までけいこや活動に使いますが、現けいこ場での公演は今回が最後になります。

2008年4月に「新けいこ場」の完成を目指しており、来年9月に現けいこ場を全面解体する予定だからです。

けいこ場ができた1988年から18年間、15作品を上演し3705人の方々に(自分でもびっくり)ご来場いただきました。

言葉と向き合うことが演劇の真髄でもありますが、まさに言葉にかかわるこの作品をもってラストをかざることができ、最後にふさわしいドラマにしたいと思い、役者もスタッフも大いに言葉を学び、大いに楽しみ、切磋琢磨しながら創造を重ねています。

記念すべきラスト公演に是非ご来場ください、お待ちしています。