TOPへ

劇団「ひの」 第94回公演

銀河鉄道の恋人たち


~2017年 けいこ場公演~
  • 12/ 2(土)19:00
  • 12/ 3(日)10:00 14:30
  • 12/ 7(木)19:30
  • 12/ 9(土)14:30 19:00
  • 12/10(日)10:00 14:30
  • 銀河鉄道の恋人たち あらすじ
    七つの川が流れ、町と街を結ぶ大小さまざまな橋の美しい街。
    一つの川のほとりに「銀河」という名前の喫茶店がありました。
    その日、屋上で夜空を見ようと天体望遠鏡を携えて店へやって来た“五郎”。
    たまたま「銀河」という名前に惹かれて、初めてやってきた“とし江”。
    二人はそこで出逢いました。
    文学や音楽を愛するとし江は、喫茶店の壁に飾られた絵画が 「銀河鉄道の夜」 をモチーフとした画だと気付きます。喫茶店の主人はそんなとし江に感心し、その深淵な物語について語り始めます。居合わせた五郎に「銀河鉄道の夜」の知識はありませんでしたが、興味をもって話に加わります。
    それは、生と死の旅をたどる幻想的な物語。・・・五郎の胸の奥を揺さぶりました。

    その夜、屋上で星を見る二人は、芸術と科学の話題で話が弾み、自然と惹かれあっていきます。
    しかし、五郎には打ち明ける事のできない悩みがあったのです。
    やがて二人は、ジョバンニとカンパネルラのように銀河鉄道に乗車するのでした。

    「銀河鉄道の夜」 なら知ってるけれど、「銀河鉄道の恋人たち」 って何だろう? 
    と思った方もいらっしゃるでしょう。
    宮沢賢治の名作 「銀河鉄道の夜」 は、劇団「ひの」によって1995年と2011年に上演されました。
    今回の「銀河鉄道の恋人たち」は、それをモチーフとし、私たちに新たな問いを投げかけてくる物語です。私たちが永遠に忘れてはならない問いかけに、どうぞ向き合ってみてください。ブルカニロ博士の言葉が、その答えを教えてくれるかも知れません。


    知ることと、忘れないことと
    この作品の上演を決めた時、これほどまでに「核」の事が、良きにつけ悪しきにつけ、話題になるとは思いもよりませんでした。
    良いとは、7/7に国連で初めて核兵器禁止条約が採択された事、そして10/6にICAN(アイキャン 核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞した事です。
    悪しきと言えば、北朝鮮とアメリカによる、核兵器使用の危険が高まっている事や、今だ「核抑止力」にしがみつく国がある事です。
    日本政府は、核兵器禁止条約は認めず、ICANには沈黙しています。10/26、国連に提出された日本決議案は「嘆かわしい後退」と、各国から批判されるありさまです。
    ヒロシマとナガサキでの悲惨な出来事を忘れたのでしょうか。

    「銀河鉄道の恋人たち」の舞台は、8/6の原爆投下から20数年後が設定されています。
    その時代は冷戦の時代でした。中でも1958年から1963年は「危機の時代」と呼ばれ、核競争が激化し、核兵器の大量製造、配備が行われていました。
    1954年の第五福龍丸の被爆を機に核兵器廃絶運動が高まったのもこの時代です。1963年には、東海村にて、日本で最初の原子力発電が行われています。
    これらが縦横に連鎖してこの時代が流れており、その中で大橋喜一氏はペンをとったと想像されます。
    物語のラストで、「…小さな良心が何百、千、万と大きく組織されてのみ、戦争もなくせる、人間性も回復できる…」「…砂粒のような努力からはじまるものだ」と、希望を語る台詞があります。
    核兵器廃絶運動の前進も、その言葉と重なります。被爆の実相を勇気をもって世界に訴え求め続けた人々や、平和を願う市民の信念と生きざまが成しえた成果だからです。

    私は8月に、広島平和記念資料館や平和記念公園で学んできました。
    劇団では、第五福龍丸展示館、原爆の図丸木美術館に行きました。また、被爆者の証言や原爆被害の映像を鑑賞しました。
    見るのも聞くのも辛かったのですが、原爆の社会的被害・残酷性、身体や心への人間的被害・苦しみを学びました。
    「銀河鉄道の恋人たち」は、人間が犯した原爆というあやまちを、被爆者の恋愛と結婚の問題を軸に描き、銀河という広大な宇宙(世界)から俯瞰・昇華する事により……過去を知り・今を問い、明日への路を示すドラマです。
    小川かごう様に友情出演していたけることができました。以前専門劇団に所属されていた方で、現在は川崎の方で地域演劇活動をされています。
    大学2年生の女性も入団してくれました。中学生・高校生・大学生や若者、ベテランの団員を含め15人で、原爆で起こった事を想像しながら日夜取組んでいます。
    多くの方々に観ていただく事を願っています。
    みな様のご来場を心からお待ちしています。