けいこ日誌

劇団ひの第90回公演

羽衣House

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稽古日誌 安孫子基嗣 
2015/11/22

安孫子基嗣 (仲島和人役)

慣れるはずが全然慣れへん。
どんな名画でも、何度も何度も繰り返して観れば、やっぱり見慣れてまい見飽きてまい感動も薄まってまうのが普通。

自分はこれまでの稽古を通してこの舞台は何度も観ている。はたして、何十回見たんやろ?
ところどころ、他の人のセリフも覚えてもうた。
次にどんなことが起きて、その次に何が来て、どんな展開になって、どんな結末に繋がるか、全部わかってる。
なのに稽古のたびに、未だに同じところで魅了され、同じところで涙腺を刺激され、同じところで引き込まれ、同じところで笑ってまう。
そして、新しい何かに気づかされる。ほんまに。見慣れて見飽きる気配が無い。
何故なのか?
それはきっと、回数を重ねるごとに芝居がグレードアップし、クオリティとリアリティが増していってるからなんやと思う。

先週11/15の公開稽古を経て、観て下さったオーディエンスの方々から頂いた金言と、各自の気づきに基づきブラッシュアップされ、遂に11/22のリハーサルに至った。

これまでの稽古とは違い、照明が入った。
この照明が介在することによって、目の前の舞台が“目の前の現実”と化したと勘違いしてしまうほどに深みが増した。
そしてその絶妙な照明は、ほぼ間違いなく演じ手のココロにも何らかの作用を及ぼしたように感じた。
現にその照明の光を帯びた空間と役者は、これまで以上に情熱がこもり、これまで以上にココロが震えていたようにも見えた。
そして、それを観ていた自分も感動のあまりに“さぶいぼ”(鳥肌)たった。

確かに、この羽衣Houseという作品自体、すごい名作なんやと思う。全く異論はない。
ただ、“今回のこのメンバーで作り上げる羽衣House”も生半可やないくらいすごいと断言できる!”
もちろん、ずぶの素人で不器用で超絶初心者の自分がいるだけで、戦力が半減しているのはわかってる。
そういう意味でも、我々より器用に丁寧に上手に羽衣Houseを演じる事が出来る集団は絶対にいる。
それは勿論わかってる。
でも、このメンバーが作り上げる羽衣Houseと“同じ魅力”を出力出来る集団は絶対におらん。
粗いかもしらんし、不器用かもしらん。でも、最高に適材適所、適人適役(そんな日本語は無いけども・・・)。
この最高のメンバーとやなかったら、ここまで自負出来なかったかも、断言できなかったかも・・・。
このメンバーの一員としてここにいることが本当に嬉しく、光栄にすら感じる。
当日、誰にも真似が出来ない最高の美穂さん、最高の松原、最高の融さん、最高の
亜美ちゃん、最高の竜くん、最高のチャーリーさん、最高のマリンさん、最高の笑さん、最高の哲也さん、そして最狂の仲島(笑)が目の前にいてるはず。
観て下さる方々に後悔だけはさせません!
そのためにこのメンバーはプライベートをかなぐり捨て、多くのエネルギーとパッションと時間をこの舞台に注いできました。

いよいよ、28日に初日を迎えます。
メンバー全員で、羽衣House@劇団ひので皆さんをお待ちしております!

稽古日誌 高橋智子 
2015/11/15

高橋智子(マリンさん役)

とうとう、とうとう、公開げいこの日が来てしまいました。
出来上がりは、6割程度…。照明が入り、音響が入り、そして、見に来て下さった
人々が居て…。もう、私の心臓はドキドキ。私の出番は、劇が始まってから30分後
位。それまでは、緊張しつつもセリフの練習。嫌な汗をかきつつ、出番を待ちます。
とうとう出番!!第一声は、「あらら~!!」やった、声が出た!!その後は、セリ
フと動きに気をとられ、頭の中は半分真っ白のまま、出番が終わりました。
撮ったビデオを見つつ、一人で反省。セリフの順番が違ったり、効果音と動きが合っ
てなかったり…。
本番まで2週間。毎日セリフを言い、動きを再確認しつつ覚えなきゃと、思いまし
た。
羽衣ハウスは、グッとくる場面が数回あります。後半の方で、桜子のセリフでグッと
してしまい、明るいキャラの私は、毎回鼻水を堪えつつセリフを言っています。
そして、演じながら『私に何が出来るだろう…』と、毎回考えさせられます。
本番では、羽衣ハウスの伝えたいことが、ひとつでも観客の心に残る様に、頑張りた
いです。

「公開けいこ」
2015/11/15

11月15日(日)「公開けいこ」が行われました。
参加者の方々の感想です。


伊藤高光さん

“劇団「ひの」ファンの皆さん、今回ばかりは見逃しできませんよ!” 
と思わず叫んでしまいそうな作品に出会いました。本日の公開稽古、事前に台本を読んでいた
ので良く出来たストーリーだとは分かっていましたが、これほど心に響く舞台になる
のだとは予想できませんでした。やはり、演劇は読んだだけでは分かりませんね。舞
台装置が出来上がり、音楽と照明が入り、実際に役者が演技するのを間近で見てこそ
伝わってくるものがあります。まだ6~7割の完成度ですが、この段階でも十分見応
えのある内容でした。

今回の「羽衣House」は震災から2年後の被災者向けシェアハウスが舞台。キャスト
の皆さんは、コミカルな演技で笑わせてくれるのと同時に(本当に面白いですw)、
震災後の様々な問題をシリアスに語りかけてきます。それも、人間の本質の部分を深
くえぐりながら・・・。

こんな台詞があります。「人は生きる場所は選べるが、生きる時代は選べない」
 ・・・今の時代を共に生きる我々は、何を考え、何をしていけばいいのか。人任せ
にせず皆が責任をもって取り組まなければいけない課題がそこにあります。

またこんな台詞が。「天女って、もともと飛べたのよ」 ・・・羽衣を失くして飛べ
ない人々。それは劇中の人物たちだけではなく、私たち自身かもしれません。理不尽
な事の多い世の中で、美しく自由に飛びあがるにはどうしたらいいのか。この舞台を
観てその答を考えてみませんか。きっと何かが見えてくる筈です。

2週間後に迫った公演。出演者は、この脚本がもつ強いメッセージに負けないよう、
演技に磨きをかけてくれるでしょう。第90回公演「羽衣House」が劇団「ひの」の
歴史に残る一作となることを期待しています!


下平由美さん

 「福島」と聞いて連想する言葉は…「原発事故」。数年前までは全く予期できな
かった言葉に違いない。しかし4年という月日の流れは、「あの原発事故は一体何年
前だったろうか?」そんな風に感じさせてしまうほどに残酷なものである。今、劇団
ひのが、この作品を上演することの意義は大変大きいと思う。なぜならそれは終わっ
たことではなく、今現在も続いているのだということを観る者に実感させてくれるか
らだ。そのために、劇団員たちは、この現在も続いている福島の現状に向き合い、そ
のことを伝えるために、けいこ場に立てられた「羽衣House」の舞台に立っていた。

被災地からの避難家族が身を寄せる宿泊施設「羽衣House」には様々な事情を抱えた
10人の人物が登場する。この作品は原発事故という今を問う重いテーマでありなが
らも、笑いあり、暖かさあり、涙ありという素晴らしい作品だ。だからこそ、難しい
作品であり、劇団員たちはけいこに苦戦したに違いない。まだ、セリフも完璧ではな
く、荒削りの仕上がりではあるが彼らの伝えたい思いは確かにそこに存在していた。

観劇の帰り道、なぜか元気が湧き出てきたのは、前を向いて進もうとする「羽衣ハウ
ス」の人々と、本番に向けて進もうとする劇団員の姿が重なったせいかもしれない。
本番に期待したい。そして、是非多くの方に足を運んでもらいたい。

稽古日誌 三輪多紀
2015/11/8

三輪 多紀 (笑さん 役)

今日は出席者が多かったので、午前と午後にわたって通し稽古を2回行いました。通し2回はきつい!あるメンバーが「進歩が感じられないから余計疲れるのかな・・・。」とつぶやいていたのに、すごく共感しました。

場面によっては、メンバーのコンビネーションがぴたっと決まって、観ていて「おお!」と思うシーンもできてきました。自分としては、まずは正確な台詞をいれること!思い出し思い出しではちっとも気持ちがこめられません。深い深い、本当にいろいろ考えさせられるいい台詞だらけなのだから、がんばらなくては!1週間後には公開稽古なのに、今自分のいるレベルの低さにぞっとします。

一方、
セットや小道具は着々とそろってきています。遅れていた衣装もだんだん決まってきて、衣装係のはしくれとして、ちょっとほっとしました。今回のセットも本当にすごいんです!普段は単なる稽古場なのに、今はあれがあったり、これがあったり・・・。公演を見に来てくださったお客さんのびっくりする顔が楽しみです。

稽古日誌 中田 有
2015/11/1

中田 有 (大崎 竜 役)

昨日の作業でついに客席が完成しました。雛壇状になっていて、一番高い所は自分の身長ほどもあります。なかなか圧巻です。そんな客席を見据えながら、通し稽古をしました。
私の演じる大崎竜は寝袋に入るシーンがあるのですが、これが本当に暑い日にはサウナ状態でしんどいことになります。先週の集中稽古ではぶっ倒れるかと思いました笑
中島役の我孫子さんにずっとうちわで仰いでいただいてました。両手縛られてるので身動きもできないのです。段々と寒くなってきて今日はまだましでした。きっと公演の時には冬になってむしろぬくぬくとあったかいかもしれません。早く冬になれーと祈祷したくなります。舞台では真夏ですけどね。

公開稽古まであと二週間、がんばります!

稽古日誌 清水 恵
2015/10/25

清水 恵 (松原桜子役)

そんなこんなで。
集中けいこ2日目です。
若干昨日の疲れを引きずりつつ、私は朝練です…。
昨日のけいこ後に運びいれた大道具がすごい存在感を出しています。
今回は多くの道具たちが出てきます。
小道具担当としては、劇中の小道具の行方が気になるところですが…けいこに集中、集中!!

今日も午後には全員揃い、衣装候補の服を着て初めて通しました。
通してみると、いろんな課題も出てきますが、この作品の良さやおもしろさにもたくさん気づくことができます。
「今」が描かれたこの作品。いろんなことがありますが、今をいきる私たちがしっかり向き合わないといけないんだと、教えられます。私自身いつの間にか、向き合うことを避け「忘れっぽくて戦わなくて流されやすい日本人」になっていたように思います。この作品に関わり、自分なりに向き合っていきたいと思っています。

この二日間、初めて全員が揃いました。
このメンバーなら面白くできそうな気がする、と思えた集中けいこでした。
よぉし! がんばるぞぉ!!

稽古日誌 北谷多喜
2015/10/24

北谷 多嬉 (真鍋 亜美 役)

 学校の中間試験があったので、久しぶりのけいこの参加でした。試験が終わり、落
ち着いて考えてみたら本番まであと一か月ほどではないですか! しばらく絶句で
す。
 しかし、頭を切り替えて、今日から2日間は「集中けいこ」です。今まで握りしめ
ていた台本を手放して、セリフをどんどん覚えなくてはなりません。不安を抱えなが
らけいこが始まりました。けいこ場の中には宿泊施設「羽衣House」が出来あがって
きて、そこではたくさんの人がせわしなく動き回っています。今回の劇の難しいとこ
ろはたくさんの動きがあるところです。掃除、片付け、またパーティーの準備をしな
がらセリフを言う…私にとってはとても大変なことです。セリフもまだ完璧ではない
ので混乱しながらのけいこでした。セリフを動きとともに頭に入れなければならない
んだなと、今日は一日反省。
 そして、夜はみんなで楽しく食事をしながら、一人一人の意気込みを聞きました。
明日は通しけいこをします。頑張るぞー!

稽古日誌 川上 剛
2015/10/18

川上 剛  (矢野原 融 役)

寒くなってきた今日この頃、劇団けいこ場では、けいこ真っ盛りです。

全体として、どういう流れになるか?探りつつけいこを進めています。自分(施設に
呼ばれたマジシャンかつ絵本作家という役)もまだまだ解釈に悩んでいるところもあ
り、これから詰めていかなければなりません。

午前中、けいこをし、午後は勉強会。隅田先生をお招きし、福島第一原発事故に対す
る国の対応、東電の対応、被災された方々の苦悩、これからのエネルギー政策はどう
するべきかなどについて学びました。

また、憲法に照らし合わせた場合、事故への対応というのを学びました。
憲法は国民主権をうたっているにも関わらず、国の判断で今後どうするべきかを決め
られている現状があります。放射線量の高い地域がある中で、帰宅することが出来る
か、出来ないかは、国が決めているので、それに従うしかない…。だが、言われたま
まに従って良いものか?というのもあります。
被災された方々には、色んな思いがあり、地元に残りたいと思う人、避難をすべきと
思う人…。

今回の舞台では、その色んな思いを持った人たちが出てきます。どの考えが正解とい
うのは、無いような気がします。テーマとして、とても難しいところがありますが
…、来月の公演に向け、深めていきたいと思います。

稽古日誌 荒谷郁男
2015/9/19

荒谷 郁男(チャーリーさん 役)

9月19日午前2時18分 戦争法案は強行成立させられた。国会正門前集会の中に
居た。
集会は5時過ぎまで続いた。久しぶりの朝帰りだった。
午後1時からと思っていたので、佐藤さんからの呼び出しの電話にびっくりした。
結局、途中からの参加。6ピースのチャーリーさんの台詞。福島弁である。私は津軽
の生まれで津軽弁は得意。似ているところもあるがイントネーションが決定的に違
う。
大山さんから方言指導を受けたのだが、まだまだだ。榎本さんが復帰してくれてこの
日から参加した。
全部の役が決まった。
榎本さんは演劇の先輩でいろいろアドバイスをしてくれる。とにかく私は今、徹底的
に台本を読まなければならない段階。

チャーリーさんは、原発を推進した元議員でもある。それが原発事故で変わる。それ
を自分の口でながながと語る場面がある。もちろん福島弁だ。心の動きも表現しなけ
ればならない。

2時から勉強会があった。菊池和子さんのスライドトーク「フクシマ漂流」。
写真家である菊池さんは、震災後の福島の姿を撮り続けている。語り部として伝えて
いきたいと。
お話では取材した藤島昌治さんの詩も紹介された。
藤島さんは、原発事故で新潟三条市に避難し今は、南相馬市鹿島区仮設住宅に入居し
ている。

「七夕」という詩を記したい。

「孫たちに会いたい」とか
「はやく家へ帰りたい」とか

短ざくは風に揺れて星に願いを届けます

果して願いは届くのでしょうか
「フクシマ」はいつから片仮名になった
「フクシマ」の全ての物が
「危ない!」の代名詞になった

人々は日本人から「フクシマ」の人になった

「笹の葉サラ♪サラ♪軒端に揺れる♪」

稽古日誌 表 美子
2015/9/27

表 美子 (羽子田 美帆 役)

今日は、午前中、福島から引っ越して日野に在住の大山いづみさんに福島の現状を伺
いました。

今、福島では避難や放射能のことがタブーになってきていて、放射能を気
にしていることを言いづらい雰囲気になっているそうです。ここに住めるのか住めな
いのかはっきりしてくれれば前に進めるのに、帰還基準が20mSVにひきあげられ
(事故前は1mSV)、大丈夫だといわれる(御用学者によって?)。だれを信じてい
いのか疑心暗鬼になるのではないか、逆に大丈夫と思い込まなければ心の安定が保て
ないところに追いやられているといったほうがいいのかもしれない。避難解除になっ
ても、街も、仕事も、病院も、農地も、なにも元には戻らない。住めるのか? 家族
をバラバラにしてしまった事例も・・責任を取ろうとしない東電や政府。微力のわた
しに、何かやれることがあるでしょうか。考え続けていきたいと思います。

さて学習会のあとは、福島弁のレクチャーや装置小道具の打ち合わせ、午後は半立ち
稽古を進めました。来週は装置づくり、小道具準備などがはじまります。今回は台詞
を言いながら、掃除や台所仕事があり、原発への思いあり、ハードルの高い芝居に今
から、緊張しています。


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