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劇団「ひの」 86回公演

闇に咲く花

愛敬稲荷神社物語
演出より

『過去の失敗を記憶していない人間の未来は暗いよ』

演出/佐藤利勝

10月27日の「劇団ひの創立40周年・けいこ場5周年のつどい」は、台風一過、爽やかな晴天にめぐまれ、40名を超える参加者で、素敵な集いになりました。林先生の講演では、多くのエピソードを交えながら戦犯裁判を学び、戦争責任に向き合ってこなかった日本社会の問題が、今に繋がっている事を知りました。2部では、劇団「ひの」との思い出や、これまでの成果、今後への期待など暖かいお言葉をいただき、励みになりました。本当に、ありがとうございました。
さて、「闇に咲く花」ですが、1985年「きらめく星座」、87年「闇に咲く花」と「雪やこんこん」が「昭和庶民伝」三部作として、こまつ座にて初演されました。この三部作は、井上ひさしさんの個人史と重なるところが多いそうで、昭和10年代から20年代にかけて激動の時代を懸命に生きた日本の庶民の姿を描く連作です。その第2作となった「闇に咲く花」は、その庶民の群像を通じて、深刻ぶらず、軽やかな喜劇タッチに描かれ・・・その中で、軍国主義体制と結びついて戦争に加担した神社や国民のあり方が問われています。
 舞台の場所は神田、近くに靖国神社があります。時は、日本国憲法が公布された1947年です。作品が発表された1987年は、中曾根康弘首相が「戦後政治の総決算」を掲げ、金銭中心主義よって生じたバブル経済の渦中にあり、過去の忘却がよりよい現在を獲得するための条件とされる時代でした。この内閣で、廃案となりましたが、スパイ防止法案も提出されています。「これが自分の使命だ」と唱へ、民意を無視し暴走する安倍首相(A級戦犯の岸信介の外孫)との重なりを強く感じます。秘密保護法、TPP、原発事故・汚染水、集団的自衛権行使の容認、・・さまざまな事を闇に包み真相を隠し、世の中をどこへ導き、どう変貌させようとしているのでしょう。本文の表題は劇中の台詞からの引用ですが、『なぜって同じ失敗をまた繰り返すに決まっているかね』と続きます。
 現代に響くメッセージをふんだんに内包し、見ごたえ、やり甲斐のある大作です。出演者も13人と多いのですが、新人2人(小池・三輪)…そして、劇団の近くにある居酒屋「赤兵衛」のマスター、小山英雄さんによるギターの生演奏。前回の公演の時に、語りの指導をいただいたプロの俳優、岡部政明さん(市内在住)のお二人に友情出演していただきます。2週間で8ステージ、金曜夜の公演もあるハードな予定ですが、闇の中に、輝く花を咲かせる作品となれるように取組んでいます。是非、ご来場下さい。

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