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劇団「ひの」 91回公演 オズの魔法使い

知恵、心、勇気・・・そして夢

演出/佐藤利勝
 「オズの魔法使い」は、1996年に第55回公演として初演。
その後、2006年に第75回公演として再演、そして今回は再々演。まったくの偶然ですが、10年毎の上演となります。
現在も、作曲・歌唱指導などで大変お世話になっている浅川少年少女合唱団の関野さまと初めて出会った記念すべき作品でもあります。
両公演とも大好評、舞台と客席が共有し一喜一憂という感じでした。オズは、百年前に書かれたファンタジーの世界。
といっても、発想や着想が古臭くなく斬新なアイデアにあふれており、奇想天外な出来事が次々と起こります。
登場人物もおおらかでユーモラス、ストーリーもテーマも機知に富んでいて、子どもも大人も、心を惹きつけられる物語です。

 一生懸命考え、結果的に知恵をだすのが『知恵がない』と考えているかかしであり、感受性が高く、思いやりがあるのが『心がない』と嘆いているブリキのきこりであり、危険な目にあった時に勇気を奮い出すのが『臆病だ』と思っているライオンであり、どんなに灰色の世界であろうと故郷へ帰ろうとするドロシーは、優しさにあふれています。
人の為に向かう時に、願いが開花していくのです。ここには人生哲学が散りばめられています。
自分探し・アイデンティティー(自我)を確立していく物語ともいえます。また、知恵・心・勇気は、どう使うべきか・・・・人生の知恵が説教臭くなくさらりと描かれており、作品の魅力を支えています。大王という権力や地位を虚偽(ペテン)で装っていたオズの風刺。
オズの国で暮らす人々が奴隷から解放され自由になる歓喜も見応えがあります。

 現代、私たちを取り巻く状況はけっして伸びやかとはいえません。
貧困や格差など、社会の犠牲となって苦しみ悶えている子どもたち。
悲惨な出来事が後を絶ちません。
夢を抱きづらい社会になっています。
こんな状況だからこそ楽しく、そして夢や希望を与え明日への活力となれる作品を目指し創造に挑んでいます。

 街角の掲示板などで目にした方がおられると思いますが、公演毎に募集ポスターを掲示しています。
今回は、いつになく沢山の問い合わせがあり、「オズ」の人気の高さに驚きました。
高校生2人、中学生2人、小学生1人、20代の青年1人が加わり、全体的にぐっと若返りました。
役や台詞も増やし、皆が活躍できる様にしました。10代から60代までの20人が、演技・歌・ダンスに生き生きと励んでいます。
ベテランのスタッフの方々も、さまざまな要望に応え、かたちにして頂いています。是非、子どもたちにも声をおかけください。

 オズの世界へのご来場を心からお待ちしています。