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劇団「ひの」 92回公演

春立ちぬ

 
公演:2016年11~12月
あらすじ
 
  • 11/26(土) 午後 7時30分
  • 11/27(日) 午前10時00分
  • 11/27(日) 午後 3時00分
  • 12/ 1(木) 午後 7時30分
  • 12/ 3(土) 午後 3時00分
  • 12/ 3(土) 午後 7時30分
  • 12/ 4(日) 午前10時00分
  • 12/ 4(日) 午後 3時00分
  •  松浦家は6人家族。両親と3人の子ども、そして亡くなったお爺ちゃんのお姉さん(シゲ子)が一緒に暮らしています。
    末っ子の彩香は中学3年生。節分が近いある日、夜になって担任の先生が突然家にやってきます。ホームルームで無責任発言をした男子に彩香が強く意見した事に対して、その親が怒鳴り込んできたというのです。確かに言葉はキツかったかも知れないけど、皆も思っている正しい事を言ったのが・・・? 彩香は謝らないと主張しましたが、家族それぞれの意見は揺れ動きます。
    翌朝、どうするかようやく決めかかったところへ、思いもよらぬ事件が起こり、彩香も両親もそちらへかかりっきりに。
     その間、今度は大伯母のシゲ子と長男の敏樹(浪人生)が別の事件に巻き込まれ、ただの可笑しな毒舌おばあさんかと思われていたシゲ子の口から誰にも言えない秘密が・・・。

     何の変哲もないかのように見えていた家族に一体何があったのか??? 同時に起こるそれぞれの事件は、別の出来事でありながら、どれも登場人物たちの心の奥底で、同じように深く関わっていたのでした。

     誰の心の中にもある光と闇。他者との関わりの中で、人は自らに恥じる事のない生き方ができるのか? どうしても一緒に考えてほしいテーマを、第92回劇団「ひの」公演で皆さんに投げかけます!

    家族の明日と戦争の記憶と
    演出/佐藤利勝

     前回上演した「オズの魔法使い」を通じて増えた中高生が活躍できる作品を探していたのですが、なかなか見つからず難航していました。
    そんな折、偶然目に止まったのが、ある茶封筒でした。
    数年前、山形県鶴岡市にある「劇団だいこん座」の方に頼まれて私の脚本を渡した事がありますが、かわりに幾つかの台本を頂いたのです。
    その中に「春立ちぬ」の一冊がありました。
    出演者をみると、中学生3人・高校生2人を含め老若男女が出演し、メンバー的にぴったり。
    また今日的なテーマが描かれており、演目として決めました。

     この作品は2008年11月に劇団俳優座299回公演として初演されていました。
    「現代劇作家連続公演」と銘打った公演の2作目。
    初回は「終末期医療」を題材とした坂手洋二作「スペース・ターミナル・ケア」でした。
    ふたくちさんは、2006年に「風薫る日に」という戦争の記憶の問題を取り上げた台本も俳優座に書き下ろされています。
    市井に生きる「普通の家族」をユーモアとペーソスを交えてさりげなく描く作風と演出は高く評価さています。
    その一方で、シベリヤ抑留を描いた「収容所から来た遺品」。出征した兵士らに家族写真を送る「百枚目の写真」。
    最新作「静かな海へ」は、今だに水俣病が終わってない事を問いかけた作品でした。
    「こんな時代だからこそ、平和・環境・家族の三本柱こそ演劇の使命の一つだと思っている」と、プロデユーサーの方が記されていましたが、ふたくちさんの熱い思いが伝わってきました。
    「春立ちぬ」も、まさにその様な作品です。

     松浦家(5人家族)と、戦後ずっとこの家で暮らす大叔母シゲ子。
    姉妹の友達や先生、職場の同僚等が織りなす……いじめ、引きこもり、パワハラ、セクハラ、リストラ、自殺などの出来事。それぞれの現場が舞台上で描かれている訳ではありませんが、色んな事情を背負った人々が、それぞれの思いを語りながら物語は進んでいきます。
    その中で、シゴ子が語る、さりげない言葉や生き様がドラマに深みをつけていきます。
    そのシゲ子が後半で語る戦争での体験談話は圧巻で、「どう生きるか」を投げかけ、ドラマをラストに導きます。

     嬉しいことに20代の青年二人が仲間に加わりました。中高生や劇団員たちと、自分たちの経験・体験した事や、今の社会の中で日々起きている出来事を考えたり、話し合ったりしながら作品を深めています。昨年上演した「羽衣House」に続く、現代を扱ったドラマに、ご期待ください。みな様のご来場を心からお待ちしております。