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劇団「ひの」 第95回公演

龍の子太郎


~2018年[夏] けいこ場公演~

  • 6/30(土)18:30
  • 7/ 1(日)10:00/14:30
  • 皆さんは、お米を食べたことがありますか?
    “え、何言ってるの? ごはんの事でしょ?“ と思うかも知れませんね。
    でも、今回のお話は、アワやヒエしか食べる物がなくて、お米なんか見たこともない人が多かったずいぶん昔の物語です。

    ある日、山あいの川から、つんぷくかんぷく、つんぷくかんぷくと、おかしな物が流れてきました。 婆さまが拾ってあけてみると、そこにはかわいらしい赤ん坊がいました。 婆さまは「太郎」と名付けて大事に育てていました。

    “あれ、聞いたことあるなあ・・・” と思った人? ・・・いますよね(笑)。
    そうなんです。そもそも、このお話は、日本各地の色々な民話が元になってできているんです。
    太郎は鬼とすもうをとったり、天狗から力をもらったりもするんですよ。
    面白そうじゃありませんか?

    さて、他にどんなお話が出てくるかはお楽しみとして・・・。
    太郎は握りしめていた水晶の玉のようなものをなめながらすくすくと育ち、山の中でネズミやサルやクマたちと遊んでは力強く賢い子になっていきます。
    ある日のこと、太郎がいつものように山の動物たちと遊んでいると、心が洗われるような美しい笛の音が聞こえてきました。
    吹いているのは近くの村に住む「あや」という可愛い娘でした。 あやはすぐに皆と仲良くなり、それからもずっと太郎と関わっていきます。
    あやがどんな役回りを演じるのか楽しみになってきましたね(笑)。
    まあ、それは観てのお楽しみとして、ここでひとつ大事なことをお話しておきましょう。
    太郎は、お父さまもお母さまも小さい頃に亡くなってしまったと、婆さまから伝えられていました。
    しかし、ある日のこと、婆さまが太郎に言ったのです。
    「おかあはなあ・・・生きているかも知れない」
    今まで、いないと思っていたお母さんが生きているかも知れないと言われれば、ドキドキしちゃいますよね。

    そんな太郎に婆さまはある秘密を打ち明けます。
    それは、「たつ」という名のお母さんから太郎が生まれ無事に育つまでの、切なくも美しい物語でした・・・。


    みな様のご来場を心からお待ちしています。

    民話の魅力をエネルギッシュに!

    劇団「ひの」は、1973年に創立。新けいこ場は2008年に完成しました。
    今年で、創立45周年、新けいこ場建設10周年を迎える事ができました。 劇団を支援・サポートして頂き本当にありがとうございます。9月に祝う集いを予定していますので後日ご案内させて頂きます。
    その記念公演の第一弾として「龍の子太郎」を選びました。
    この作品は、劇団「ひの」第84回公演として2012年に上演、今回、6年目の再演となります。
    初演は八王子の「いちょうホール」で上演しましたので、日野市内でやりたいと思っていました。
    お祝いの唄でめでたく終わり、記念公演に相応しい作品でもあります。
    初演の時、作家の松谷みよ子さんはご健在でしたが、2015年2月28日(89歳)で他界されました。民話の採掘・研究、創作民話、絵本、児童書の創作や「ふたりのイーダ」など平和を題材とした作品群(「子どもの本・九条の会」の呼びかけ人の一人でもありました)……その実績は多岐に渡っています。その中でも、「龍の子太郎」は、スケールが大きく、感動的で、愛情や母性、ヒューマニズムに溢れ、文字通り松谷さんの代表作です。第1回講談社児童文学新人賞、1962年に児童文学のノーベル文学賞ともいわれている国際アンデルセン賞優良賞を受賞、のちにアニメ映画にもなっています。
    「まんが日本昔ばなし」のオープニング、でんでん太鼓を持った子どもが龍に乗って空を飛ぶ姿は、龍の子太郎がモチーフとされているそうです。
    1975年から1994年までの19年間ゴールデンタイムの枠で952話放映されました。
    その後、一時期再放送されましたが視聴率の低迷で、今は放映されていません。私たちの暮らしや文化、国語の教材や教科書からも、民話や昔ばなしが減少しています。民話には民衆によって語り伝えられてきた知恵・人間の生き方の本質への問い・豊かな考察があります。そんな今、民話の魅力を大切にし、エネルギッシュに表現したいと思っています。再演にあたり、私がもう一つ注視したのは、「米作り」でした。「八」「十」「八」の過程があるから、「お米」と書くと知りました。お米や作物を作り出すことの貴重さを学び伝える為に、初演版から一部を加筆しました。
    小2から中3までの準劇団員11人、高校生から70代までの劇団員13人、合わせて24人で47の役を演じます。
    4人の新人も迎えることができ、みんな真剣にけいこ・歌・ダンスに励んでいます。
    けいこ場には、高さ3メートルの龍が設置され、太鼓の生演奏も力強く響いています。
    ワクワクと楽しめ、心を揺り動かせる芝居を目指しています。皆様のご来場を劇団員一同、お待ちしています。

    ○●○ 前回の公演で寄せられたアンケートから一部をご紹介させていただきます ○●○

    • 人の優しさ、生きていくたくましさ、仲間を大切にする気持ちなど感じられて、とても暖かい気持ちになりました(女・40歳)
    • けいこ場以外の大きな会場で初めて観ました。日本の民話の良さ、劇団員の熱意、感動がいっぱいでした。(セリフで)「一人の犠牲者も出さずに・・・」原発関係者、政府の役人に聞かせたいです?今の時代に希薄となっている人を思いやる気持ちを題材にしてとてもよかったです*太郎が母親に「岩魚が100匹いればいい、おむすびが100個あればいい」という場面が一番心にのこりました(男・32歳)
    • すごく楽しかったです。みんなが幸せになる事は、みんなの願いです。お互いをせめあうことのない社会をつくっていく願いが、強く心に残りました(女・37歳)
    • どうしてこんなに感動してしまったのでしょう。訴える力がすごいと思いました。涙がとまりませんでした。忘れてはならない大切なことを伝えて下さってありがとうございまし(女・54歳)
    • 孫と一緒に観させていただきました。感動しました。出演の方がたの想いが伝わってきて、このような感動は久しぶりです(女・58歳)
    • 毎回、作品を選ぶ眼につくづく“すごいなー”と思っています。美しい田んぼの姿に福島を重ね、涙があふれました。月日が経ち、鈍感になっていた自分自身に気がつきました。これから夏休み、親子で考えつづけたい、よい宿題をいただきました。本当に素晴らしかったです(女・39歳)
    • 直接的なことを言わずに、メッセージを伝えていく事に、やっぱ芝居っていいな~って思いました(男・29歳)
    • とても楽しく観ることができました。みなさんの熱演に目がしらがあつくなりました。就学前の二人の子も集中してみることができ、太郎のお母さんが人間に戻ったところをみて「よかったね」とにっこりしていました(女・30歳)