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劇団「ひの」 第105回公演

~2024年[夏] 七生公会堂公演~

セロ弾きのゴーシュ





  • 6/29(土)14:00 18:30
  • 6/30(日)11:00 15:00
  • ゴーシュは(まち)金星音楽団(きんせいおんがくだん)のセロ()きだ。 だけど、あまり上手(じょうず)ではない。
    いつも(しか)られてばかり・・・ゴーシュが(よる)(いえ)でセロの練習(れんしゅう)(はじ)めると、三毛猫(みけねこ)がやってきてトロイメライを()いてくれと注文(ちゅうもん)する。
    生意気(なまいき)(ねこ)(はら)()てたゴーシュは(はげ)しい(きょく)「インドの虎狩(とらが)り」を()いて(ねこ)()()してしまう。
    (つぎ)(よる)にはカッコウが、その(つぎ)(よる)には()だぬきがやってきて・・・さあ、ゴーシュはどうしただろうか?

    セロの()は生きる喜び

    ♠思い出深い作品
    セロ弾きのゴーシュ」は、1978年(劇団創立5年後)に第16回公演として市内小学校体育館(4校)で初演(観客数約1200人)。
    「日野市民吹奏楽団」の方々に楽手として出演して頂きました。
    その6年後の1984年に第29回公演として、社会教育センターと市内小学校体育館(3校)で再演(観客総数600人)。
    はじめて演出した作品でしたので、社会教育センター体育館の片隅で、心臓がバクバクとして開演をむかえた、20代だった頃の思い出深い作品です。
    宮沢賢治が構想した、誰もが文化を楽しむ理想郷であるイーハトーブの世界を知り、今でも演劇活動の支え理念となっています。
    ♥40年ぶりの上演
    今回で3回目、40年ぶりとなります。
    再々演にあたり、
    1. 原作に描かれているゴーシュと動物の関係
    2. 音楽として使われているベートーヴェンの交響曲第6番「田園」との関係
    3. 37歳で永眠するまで枕元に置いて、手を入れ続けたこの作品への宮沢賢治の思いの表現
    を3本柱として脚本をリニューアルしました。
    個人的ですが、演出活動40年にあたりますので、これまで培った経験を活かし、よりよい作品を創りあげたいと思っています。
    ♦いくつかの驚き(一本の線)
    「変な戦いするよりね、水で戻してやったほうがいいですよ」と、アフガニスタンの荒れた砂漠地帯に多くの用水路を築かれ、何万人もの難民の方々を救済された中村哲さん。
    無惨にも2019年12月4日に何者かに銃殺されました。
    その中村さんが、NHK ラジオ深夜便で語られた事をまとめた「わたしはセロ弾きのゴーシュ」という本があります。
    あとがきで「賢治の描くゴーシュは、欠点や美点、醜さや気高さを併せ持つ普通の人が、いかに与えられた時間を生き抜くか、示唆に富んでいます。
    それゆえ、ゴーシュの姿が自分と重なって仕方ありません」と、語られています。
    中村さんの長年の原動力に繋がっている事に驚きました。

    もう一人、NHK交響楽団の前身である「新交響楽団」で、セロの演奏や指揮をされていた音楽家の齋藤秀雄氏は、「演奏に心がない」とゴーシュを叱り、ラストでゴーシュをほめる楽長のモデルと言われています。
    賢治自身「新交響楽団」でセロを習った事があるのです。
    その齋藤さんがオーケストラ育成のために設立された「桐朋学園」。
    今年の2月6日に他界された小澤征爾氏は、その大学の一期生だったのです。
    また、音楽を通じて世界全体の幸福を求めるベートーヴェン。
    「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と考えていた賢治。
    二人に共通点がある事にも驚きました。
    ♣ゴーシュの成長
    昨年上演した動物会議を観て入団した、小2と小5の5人の子どもたちと、あらたに40代、60代の女性が仲間になってくれました。
    7人の大人と8人の子どもたちで、お芝居・歌・ダンス・演奏に取組んでいます。
    ゴーシュが成長していく過程をしっかりと描ける様に挑んでいます。

    皆さまのご来場を心からお待ちしております。