TOPへ 
今月のクローズアップ

[2003年4月]


田中勉さん

大好きな「お茶」の話を一つ。

緑茶も烏龍茶も紅茶も、みな同じツバキ科のお茶の葉から作るのに、なぜ色や香りや味が違うのか?
それは、生茶の「発酵」の度合いを加減することで、様々な味と香りを引き出す製法を中国人が発明したから。
お茶の製造過程で行う「発酵」の度合いによって、不発酵茶(日本茶など)、半発酵茶(烏龍茶)、完全発酵茶(紅茶)、後発酵茶([プーアール]茶)が生まれる。
一説に800種とも1,000種以上ともいわれているアジアンティー、それだけ種類が多い理由は、広範なアジアにはそれだけの文化があり、数多くの民族が住んでいるからだ。
多様な文化がモザイクのように集まるアジアに広まった中国生まれのお茶は、それぞれの民族が育んできた嗜好や喫茶習慣にのっとって変化していった。
だから緑茶や紅茶、烏龍茶の他、エキゾチックな花茶やハーブ茶、果実茶と限りなくバラエティーがあふれ出すのだ。 五感はもちろん、大脳皮質にまで秘めやかに染みこんでくる官能的快楽を、アジアのお茶は持っている。
とても奥の深い味わいを持つお茶は、理屈抜きにしてます。
味わう事から始めたい。
その日の気分や季節に合わせてチョイスする。
そんな贅沢なお茶習慣に、ゆらゆら浸っているのです。