「ちよなにしてるだ」小学校2年生学芸会、唯一の台詞(村の子ども)
「ほらほら、あんまり遠くに行ってはいけませんよ」小学校3年生学芸会(母うさぎ)
「てんてんてんてんすってんてれつくすってんてん」小学校4年生学芸会(花子天狗)
「もしわにがノブタを食べていたら」小学校5年生学芸会(巫女)
さてさて一体何を書こうかと考えてみたものの、劇団ひのと出会って間もない私にとっては「劇団とからめて何かを」というお題目はなかなか難しい…と頭をぐるぐるしていたところふと浮かんできた台詞。台詞が思い出される…、忘れられない?理由がそのまま今劇団に私がいる理由!?なのか…というわけで、つらつらと舞台に対する思いを書いてみると。
開演前のブザーの音と真っ赤な緞帳、左右から照らされるスポットライト、お客さんの拍手、心臓が口から飛び出るくらいの緊張感…小学生だった私の頭の中に何かとほうもない生き物となって住みついてしまったようで。
社会人になって、芝居からしばらく遠ざかりすっかり世話にかまけていたところ…。
よく行くカフェの掲示板、ふと目をとめると「劇団員募集」の文字が!『動物会議・劇団ひののポスター』でした。そりゃそりゃ騒がないはずがない、私の頭の中で大暴れ、静めるためには即入団…しかないでしょう。というわけで現在、劇団初舞台『二十四の瞳』に向けて奮闘中。
んっ?んっ?んっ?脚本討論、発声、稽古、大道具、小道具、衣装、記録etc・・・ぎょっ?芝居つくりってこんなにたくさんのことが動いていたかしら?とめまぐるしく動く時間と人、ひと、ヒト。そうそう、本番のスポットライトの後ろにその何倍もの影が伸びていることも思い出した。
稽古場に行くたびに、どこかが変化していたり、積みあがっていたり、何かが削られていたり、そうして舞台が作り上げられていく様を目の当たりにすると、本当にみんなで一つのものを作り上げているんだなと実感する。自分もその一員であることを肌で、目で、耳で感じられる確かな存在感が得られるところなのかもしれない。
ほらほら、みなさんの頭の中にもなにかとほうもない生き物が住みついていませんか?世話にかまけていると、いつか頭の中で暴れだしますよ。私の生き物は「芝居好き」のようでしたが…。その正体は自分が一番知っているはず。「人生は一度きり」と至極当たり前のことですが、「いつ?何をしたいのか?」チャンスはめったに訪れるものではありません。
あっ!また思い出した最初のスポットライトは『くつやさんとはだかのこびと』保育園年長(くつやのおかみさん)だった。
「わたしたちを、こんなにお金持ちにしてくれたのは、あのこびとたちだったんだわ。なにかおれいをしなきゃあね。そうだ、かわいいうわぎとチョッキ、それにシャツとズボンをぬってあげよう。くつしたもわすれないでね。あんたはくつをつくるといいわ。」それっきり、もうこびとたちはやってきませんでした。でもそれからこのくつやさんのすることはなんでもうまくいって、いっしょうしあわせに暮らしました。「やりたいこと」が「できるとき」に「出会えたこと」、劇団ひのを通じて多くの方に出会えたことに感謝して、舞台でお会いできることを楽しみにしています。
『くつやさんとはだかのこびと』グリム兄弟