TOPへ 
今月のクローズアップ
前へ
[2006年06月]
次へ

高橋桃子さん

 はじめましてディスプレイの前の皆さま。
 私、小道具を作らせてもらいました、しがない画学生のタカハシと申します。

 演劇がやりたくてやりたくて、でもクラブの掛持ちが禁止されていた中学時代は美術部に所属。そうして高校生になって、念願かなって演劇部にはいったことから、演劇をつくる立場のスタートとなりました。これがもう楽しくて楽しくて……。気の合う仲間と拙いながらも演劇…つまりは物語をつくりあげて青い時をすごした私の人生に、みごとしっかり演劇は組み込まれてしまったのです。ただ高校卒業後、大学で演劇に携われたというわけではなく、私が再び演劇のある生活を送るのは3年も経ってからです。それが、この「劇団ひの」で、なのでした。

 私、今現在はガラスと洋画、そして博物館美術館の勉強をしております。ものをつくる、ということがそもそも好きなのですが、ガラスの立体作品をつくっている時、絵を描いているとき……その作品の向こう側には、必ずその作品を受け取ってくれる「だれか」がいます。私は今ここで自分が実際にしているものについて例を挙げましたが、演劇はもちろん、人の発するコミュニケーションひいては言動すべてが、こう言えるのです。

絵を描く人間は、選ぶ色彩・はこぶ絵筆の動きから生まれた点や線などの調和を作品にしていきます。演劇は、物語があって舞台美術があって音楽があって…と全体を作り上げているひとつひとつを挙げていけばキリがありませんが、その中でも役者というのはとても不思議だなと思うのです。それは何故か?役者とは、一つのお芝居という作品の全体の中で、その役者一人一人自身がまるで「作品」のようにあってお芝居をつくる一因になっているのですから。素晴らしい役者さんは、それだけで作品のようだ と私は思うのです。

あらゆる作品は、それ自体がひとつの世界をつくりあげ、それを見た人から生まれた共鳴が、さらにその人のなかの世界をつくりあげていく。こうして世界がどんどんつながっていき、また新しいものが生まれて循環していく……。私はこのようにして、自分のためにと周りの全ての人のため、両方大切にしながら作品をつくりたい、もしくはつくるお手伝いをしたいと願っています。

今回の「オズの魔法使い」そしてこれからの劇団ひののお芝居が、どうか貴方の心を優しくいたわる水の如くなりますように!